『コントが始まる』は解散をポジティブに描く? 中村倫也とマクベスの関係が伝えること

 楠木とマクベスの関係によって示された、「評価されなくても誰かが見てくれている」という救い(掬い)と、「自分の感覚、直感を信じる」というマインドは、第8話のとても大事なテーマだった。

 誰かが見てくれている。それはたとえば、父親にガミガミ言われているところを横で庇ってくれる潤平(仲野太賀)の姉(木村文乃)の存在。コント師として頑張ってきた10年も決して無駄ではなく、酒屋の仕事にもきっと活かされると彼女は強く主張してくれる。

 里穂子(有村架純)とつむぎの関係性にも、やはりそうした信頼関係がある。「マネージャーになったら?」という姉のふとした言葉(でも決して適当に言っているわけではない時間をかけたアドバイス)を受けて、つむぎは楠木が務める会社に入社した。

 里穂子が“マクベス部部長”として彼らを応援している行為もまた、「誰かが見てくれている」ことをずっと体現し続けている。ファンになることや誰かを真剣に推すという行為まで肯定してくれているドラマだ。

 楠木がふらっと直感に従って入った居酒屋でマクベスと出会ったように、里穂子もまた、受付に生け花が飾ってあったことに惹かれて受けた会社で素晴らしい出会いがあるかもしれない。大事なのは、自分の感覚を信じること。何に心を奪われているのかじっくり考え、誰の言葉を信用して生きていくかを見極めること。ひとりきりで生きていくには心もとないこの世界で、それでも仲間と離れ一歩踏み出してみることの意味。ひと組の姉妹の別れ、そしてもうすぐ離れ離れになるマクベスの3人の姿には、離れてもなお決して消えることのない連帯が貫かれている。解散や別れがポジティブに映り出しているのは、登場人物たちの顔が自信で満ちてきているからだ。

■原航平
ライター/編集。1995年、兵庫県生まれ。Real Sound、QuickJapan、bizSPA!、芸人雑誌、logirlなどの媒体で、映画やドラマ、お笑いの記事を執筆。Twitterブログ

■放送情報
『コントが始まる』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:菅田将暉、有村架純、仲野太賀、古川琴音、神木隆之介
脚本:金子茂樹
演出:猪股隆一、金井紘(storyboard)
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:福井雄太、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
主題歌:あいみょん「愛を知るまでは」(unBORDE/Warner Music Japan)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/conpaji/
公式Twitter:@conpaji_ntv

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