『きれいのくに』最終回が示した今を生きる希望 青木柚、見上愛ら高校生役5人が好演

 れいらはトレンド顔のトラウマに打ち勝とうと、中山と向き合うことを決めた。パパ活相手に暴行されたカラオケ店の同じ部屋に、同じ顔を持つ中山と2人。いまだ視線も合わせられないれいらだが、あの時パパ活相手が歌っていたザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」を歌うことで一気に思いが溢れ出す。〈悲しくて 悲しくて/とてもやりきれない/このやるせない モヤモヤを/だれかに告げようか〉。なぜか泣き出す中山に、いつの間にかれいらには自然な笑みが戻っていた。

 れいらに振られた貴志が自分を変えるために眉毛を剃ったのも、彼にとっては大きな前進だ。少しづつ歯車が噛み合わなくなっていた5人が教室で笑いあう日々がまた始まった。

 本音と建前、若さと美しさ、人の価値観やコンプレックス、生まれ持った性、容姿による差別。人が、この世界が抱える様々な問題点を浮き彫りにしながら、『きれいのくに』が描いていたのは人は間違いながらも前に進んでいけるということだったと思う。凜はその後も変わらない表情で笑っているだろうか。誠也は自身のコンプレックスとどう向き合っているのか。れいらのトレンド顔のトラウマは、中山との関係は、貴志に好きな人はできただろうか。5人に思いを馳せながら、そろそろ我々も前に進んでいかなければならない。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
よるドラ『きれいのくに』
NHK総合にて、毎週月曜22:45〜放送【全8回】
出演:吉田羊、蓮佛美沙子、平原テツ、小野花梨、橋本淳、加藤ローサ、青木柚、見上愛、岡本夏美、山脇辰哉、秋元龍太朗、稲垣吾郎
作:加藤拓也
音楽:蓮沼執太
制作統括:訓覇圭
プロデューサー:小西千栄子 高橋優香子
演出:西村武五郎、鹿島悠、田中陽児、加藤拓也
写真提供=NHK

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