ジョニー・デップが水俣病を世界に知らしめた写真家役に 『MINAMATA』9月日本公開決定

 ジョニー・デップが製作・主演を務めた映画『MINAMATA(原題)』が9月に日本公開されることが決定し、あわせて海外版予告編が公開された。

 熊本県水俣市のチッソ水俣工場による工業排水を原因とし、現在まで補償や救済をめぐる問題が続く日本における“四大公害病”のひとつ水俣病。その存在を世界に知らしめたのが、写真家ユージン・スミスとアイリーン・美緒子・スミスが1975年に発表した写真集『MINAMATA』だ。デップ自身が長年の憧れだったと語るユージン。彼の遺作ともなったこの写真集を基に、デップ自身の製作・主演で映画化が実現した。

 映画では、報道写真家として功績を評価されながらも心に傷を抱えたユージンが、当時の妻アイリーンとともに水俣を訪れ1971年から1974年の3年間現地で暮らし、人々の日常や抗議運動、補償を求め活動する様子を何百枚もの写真に収めていく濃密な日々が描かれる。「彼(ユージン氏)は心の中に痛みを抱えていた。でも、水俣が彼の心を再び開いたんだと思う」と語るデップが、容姿から内面に至るまで、傷ついた写真家が、再びカメラを手に取り、闘いに身を投じていくその生き様を体現し現代に蘇らせた。

 本作は、2020年の第70回ベルリン国際映画祭で特別招待作としてワールドプレミア上映された。共演はビル・ナイのほか、日本から真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子らが集結。音楽は坂本龍一が手がけた。主な撮影はセルビア、モンテネグロで行われた。 なお、今年2021年(5月1日)は水俣病公式確認から65年を迎える。

映画『MINAMATA(原題)』予告編

 主演のデップは、第70回ベルリン国際映画祭の公式記者会見で、「W・ユージン・スミスに、昔からとても興味がありました。彼が辿ってきた人生や、彼が体験したこと、そして、何を犠牲にして、あのような瞬間を写真に捉えることができたのかなどを知りました。そして、水俣に関する記事を読み、知識を深めていくうちに、実際にそれが起こったという事実に衝撃を受けました。しかも、その影響は解決されたわけではなく、未だに続いているということは、それ以上に衝撃的なことです。一人の関心を持つ者として、この歴史は語り継がれなければならないと思いました。映画の持つ力をフルに活用して、伝えたいメッセージを発信することが、私も含めて、ここにいる我々の願望でした。我々は皆、ただの一片のホコリで小さな力なのです。もし私たちが窮地に立たされたとき、誰かが率先して、巨大な壁を壊そうとすれば、きっと大勢の人々が後に続いてくれるはずです」とコメントしている。

■公開情報
『MINAMATA(原題)』 
9月、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:アンドリュー・レヴィタス 
脚本:デヴィッド・ケスラー
出演:ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子、キャサリン・ジェンキンス、 ビル・ナイ
音楽:坂本龍一
提供:ニューセレクト株式会社、カルチュア・パブリッシャーズ、ロングライド
配給:ロングライド、アルバトロス・フィルム
アメリカ/115分
(c)2020 MINAMATA FILM, LLC (c)Larry Horricks
公式サイト:longride.jp/minamata/

関連記事