『美少女戦士セーラームーン』『プリキュア』 今も愛され続ける少女アニメのルーツは?

 東映魔女っ子アニメの歴史の中で制作された、永井豪原作の『キューティーハニー』(1973年)は、アンドロイドの主人公が魔法というより体内の装置を使った化学の力で変身を果たし、敵組織と戦うバトルヒロインの要素があるが、『セーラームーン』、『プリキュア』も系統としては、このバトルヒロイン路線に含まれるだろう。魔法少女ものといっても、異世界から人間界にやってきた女の子が、人間社会の中でさまざまなことを学んで成長するタイプの日常作品もあれば、魔法のアイテムで変身した主人公が、シリーズを通して出てくる敵組織と戦うバトルものの作品もある。そうしたジャンルの多様性も、少女アニメのもつ魅力といえる。

 ひとくちに少女アニメといっても、魔法を使う女の子が出てくる作品ばかりではない。『キャンディ・キャンディ』(1976年)に代表される、海外を舞台にしたラブロマンスもの、『夢色パティシエール』(2009年)のように、女の子があこがれる職業をモチーフとしたものなどジャンルは多様だ。対象年齢も未就学児童から、10代の子ども向けの作品まで多岐にわたる。女の子が興味を持つアイテム、職業、ファッションなど、その時代性に寄り添って常に変化を続けているジャンルだ。

 10年以上も続いている『プリキュア』シリーズもまた、毎年テーマが変わり続けて、音楽がテーマの『スイートプリキュア♪』(2011年)、美味しくて可愛いスウィーツを扱った『キラキラ☆プリキュアアラモード』(2017年)、星座と宇宙をテーマに、主要メンバーの中に宇宙人が加わった『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019年)といった具合に、視聴者の少女の好みや世間の流行、あるいは時代の変化に合わせて変化することが、息長いシリーズ作品の秘訣といえる。果たしてこれからどんな少女アニメが生まれてくるのだろうか? 大人の視線からも見守って行きたいものだ。

■のざわよしのり
ライター/映像パッケージの解説書(ブックレット)執筆やインタビュー記事、洋画ソフトの日本語吹替復刻などに協力。映画全般とアニメを守備範囲に細く低く活動中。

■公開情報
劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』
前編・後編、公開中
キャスト:三石琴乃、金元寿子、佐藤利奈、小清水亜美、伊藤静、福圓美里、野島健児、皆川純子、大原さやか、前田愛、藤井ゆきよ、広橋涼、村田太志、中川翔子、松岡禎丞、渡辺直美、菜々緒
原作・総監修:武内直子
監督:今千秋
脚本:筆安一幸
キャラクターデザイン:只野和子
アニメーション制作:東映アニメーション/スタジオディーン
主題歌:「月色Chainnon」ももいろクローバーZ with セーラームーン(CV:三石琴乃)&セーラーマーキュリー(CV:金元寿子)&セーラーマーズ(CV:佐藤利奈)&セーラージュピター(CV:小清水亜美)&セーラーヴィーナス(CV:伊藤静)
配給:東映
(c)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」製作委員会
公式サイト:sailormoon-movie.jp
公式Twitter:@sailor_movie

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