映画ファンの象徴的存在!? 山崎紘菜が『ブレイブ -群青戦記-』で体現した“意思の強さ”

 “あなたにとっての映画女優といえば誰?”と問われたら、なんと答えるだろうか。もちろん、そこで出てくる答えは千差万別。好きな作品、好きなキャラクターによって、その演じ手の名前は変わってくる。しかし現在の不安定な環境下、山崎紘菜の名を挙げる方は多いはずだ。なぜならば、ヒロインを務めている映画『ブレイブ -群青戦記-』が公開中であり、TOHOシネマズ劇場の上映前CMにてナビゲーターとして登場する彼女は、多くの映画ファンにもっとも安心感を与えてくれる存在だからである。いま映画館へと足を運べば、少なくとも1日に二度は彼女に“会う”ことができるのだ(とはいえ、これはTOHOシネマズ系の劇場にかぎった話ではあるが)!

 昨年4月、一度目の緊急事態宣言が発出された際、映画館はそのすべてが閉館を余儀なくされた。“映画を映画館で観る”という行為が日常生活を送るうえで寝食と同じ、あるいはそれ以上のものとして位置づけられる方々にとって、映画館の閉館はとてつもなく苦しいことだったに違いない。そこまでコアなファンでなければ、純粋に睡眠と食事を奪われた生活を想像してもらえればその辛さが伝わってくるはず。そんな最中にネット上であちこちから上がったのが、「山崎紘菜に会いたい!」という声(もはや叫び)だった。思い返せば、上映前のCMでナビゲーターを務める彼女とは、誰もが劇場に行くたびに“会っていた”のだ。山崎紘菜という存在はいつの間にか、“映画を映画館で観る”という当たり前の日常を象徴する存在になっていたのである。劇場が再開した際には、山崎との再会に歓喜の声(もはや叫び)が溢れていたことが記憶に新しい。

 とはいえ山崎が、たんに“TOHOシネマズの顔”になっているだけの女性俳優でないことは映画ファンなら誰もが知るところ。彼女は『野のなななのか』(2014年)や『花筐/HANAGATAMI』(2017年)で、故・大林宣彦監督に重宝されていた存在であるし、監督の遺作となった『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』(2020年)での華麗な舞は忘れない。それに、初めてヒロインを務めた『神さまの言うとおり』(2014年)や、団体戦ながら“一匹狼キャラ”として特異な存在感を放った『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(2017年)、主人公の娘役を好演した『検察側の罪人』(2018年)など、山崎は着実にキャリアを重ねてきた。またテレビ作品では、『平成物語 〜なんでもないけれど、かけがえのない瞬間〜』(2019年/フジテレビ)で連ドラ初主演。同作は放送時間が深夜帯とあって、見逃している方が多いのが悔しいところだ。しかしやはり山崎は、スクリーンがよく似合うと思う。

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