園子温監督、インディーズ映画にカムバック 「邪心ゼロで作っちまった童心映画!」

 園子温監督作『エッシャー通りの赤いポスト』が今秋公開されることが決定し、あわせて場面写真が公開された。

 本作は、園監督自身が脚本・編集・音楽を担当したインディーズ映画カムバック作。藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、上地由真、縄田カノン、鈴木ふみ奈ら役者の卵たちのほか、藤田朋子、田口主将や、園組常連の吹越満、渡辺哲、諏訪太朗が出演する。

 鬼才のカリスマ映画監督・小林正の新作のオーディションに興味本位で応募してきた者、夫の意思を継ぎ女優を目指す若き未亡人、「小林監督心中クラブ」のメンバー、浴衣姿の劇団員、やらせの有名女優、殺気立った訳ありの女など有名無名の女優たちが集結。一方、小林監督はエグゼクティブプロデューサーの無理な要望に苦悩し、シナリオ執筆もうまく進まない。そんな時、昔の彼女が監督の目の前に現れるが......。オリジナルストーリーで、個性豊かな登場人物たちの物語が“赤いポスト”を起点に展開していく。撮影は、2019年2月心筋梗塞による緊急搬送・入院を経た園監督の退院後、2019年8月に敢行された。

 なお、本作はすでに世界6カ国の映画祭で上映され、2020年10月に開催された第49回モントリオール・シネヌーヴォー映画祭では観客賞を受賞し、今後もベルリン批評家週間を含む4つの映画祭での上映が決まっている。

 ベルリン批評家週間のアートディレクターのデニス・フッターは、本作について「今回、選考委員会は園子温監督の遊び心とアイロニーに興奮しました。監督としての長いキャリアを経て、このような根源的に繊細な作品を生み出す彼の能力には目を見張ります。『エッシャー通りの赤いポスト』は、今日の日本のインディペンデント映画の“製作の今”を鋭く正確に表現し、映画製作の将来について多くの疑問を投げかけています」と讃えた。

 園監督は「ワークショップをやる事を決意して、生徒たちを実践的に教えるためには映画を作るしかない、と思い立ち、あれよあれよと言う間に、怒涛の如く始まった。まるで22歳の時にはじめて作った8ミリフィルムの自主映画みたいに情熱だけで作り上げた。あの頃の無心になって追いかけていた映画の神様、映画作りに燃えるマグマみたいな魂を抱えて、もう一度、原点回帰して、邪心ゼロで作っちまった童心映画! 病みつきだぜ! また、やりたい! また、作りたい!」とコメントを寄せている。

 さらに、本作を企画したアクターズ・ヴィジョン主宰の松枝佳紀は「まだ無名の俳優たちを映画の中で活躍させることができたら、どんなに素晴らしいだろう。本作はその願いを叶えてくれました。これは園監督にしか作ることのできない映画です」と語った。

■公開情報
『エッシャー通りの赤いポスト』
今秋、ユーロスペースほかにて全国順次公開
監督・脚本・編集・音楽:園子温
企画:松枝佳紀(アクターズ・ヴィジョン)
プロデューサー:高橋正弥(※高橋正弥の「高」はハシゴダカが正式表記)、小笠原宏之
出演:藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、上地由真、縄田カノン、鈴木ふみ奈、藤田朋子、田口主将、諏訪太朗、渡辺哲、吹越満ほか
制作プロダクション:ヒコーキ・フィルムズ インターナショナル
製作会社:ヒコーキ・フィルムズインターナショナル/アクターズ・ヴィジョン/アミューズメントメディア総合学院
配給:ガイエ
(c)2021「エッシャー通りの赤いポスト」製作委員会
公式サイト:escherst-akaipost.jp
公式Twitter:@escher_akaipost

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