杉咲花の“啖呵”が『おちょやん』に与えるリアリティ 小暮の“優しさ”だけでは救えない千代の孤独

 ここで小暮と入れ違えで現れるのが一平(成田凌)。実に3年ぶりの再会となる。いつまでもテルヲに縛られている千代への憎まれ口に「あんたにうちの何が分かんねんな!」と怒りをぶつける。一平は他人の苦しみが簡単に分かるはずはなく、それを少しでも分かるために芝居をするのだと説く。溢れる涙と共に蘇る、芝居を通して感じた喜びと感謝。それは苦しみの先にある光だ。

 女給を続ける道でも、小暮との未来でもなく、もう一つの選択肢が千代の心には灯っていた。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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