毎年のように主演作が放送され、30代になっても、『働きマン』（日本テレビ系）、『キイナ～不可能犯罪捜査官～』（日本テレビ系）など、現代の働く女性を象徴した役を多く演じてきただけに、2010年の『曲げられない女』（日本テレビ系）は少し面白い変化のように感じられた。菅野が同作で演じたのは、司法試験に何度も落ちながらも挑み続け、子供も身籠っても1人で産もうとするなど、結婚や仕事、友人関係、全てにおいて自分の意思を曲げられない不器用な女性。ただその傍らにはいつも良き理解者の友人・長部璃子（永作博美）がいて、挑発しながらも、虚勢を張る彼女の本音を導いていく。まるでこれまで菅野が演じてきた強く生きる女性たちに対し、よく頑張ってきたと労いの言葉をかけるような、そんな最終回を迎える友情物語だった。

　そして2016年に出産後初主演となった『砂の塔～知りすぎた隣人』（TBS系）では、凶悪な隣人や様々な問題から必死に子供を守ろうとする母親役を熱演。等身大の母親役という菅野の新たな魅力が引き出され、パブリックイメージも重なり、『べっぴんさん』（NHK）や、映画『奇跡のリンゴ』など、温和な母親役のイメージが定着していく。

　4年ぶりの主演となる、『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』では、浜辺美波演じる空の母・碧を演じる菅野。あの“イグアナの娘”が20歳の娘がいる母親役を演じるというのは、実に感慨深い。とはいえ、『イグアナの娘』で川島が演じたような暗い母親ではなく明るい役で、近年ではあまり印象にない、少女のような天然ボケというキャラクターだ。ただ、先日放送されたトークバラエティ番組『しゃべくり007』（日本テレビ系）で、子供を乗せた自転車の乗り方のコツを披露したときのビートたけしを彷彿とさせる大暴走など、皆に愛されるバラエティでの天然ぶりを見ていると期待が持てる。

　本作は親子がお互いに恋愛を心配し合う話なので、事実上は母と娘という関係性ではあるが、永作とタッグを組んだ『曲げられない女』のような友人関係を浜辺とも築き上げられるのではないか。浜辺も菅野同様、凛とした女性を演じることに長けた女優で、昨年は『私たちはどうかしている』（日本テレビ系）で、菅野と同世代を生き抜いてきた観月ありさと対等に戦い、レジェンドキラーぶりを発揮していた。そんな浜辺と菅野がどんな駆け引きを見せるのか、2人の女優バトルが見ものになりそうだ。

■放送情報
『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』
日本テレビ系にて、1月13日（水）スタート 毎週水曜22:00放送
出演：菅野美穂、浜辺美波、岡田健史、沢村一樹、川上洋平、有田哲平、福原遥
脚本：北川悦吏子
チーフプロデューサー：加藤正俊
プロデューサー：小田玲奈、森雅弘、仲野尚之（AX-ON）
演出：南雲聖一、内田秀実
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