劇団EXILEメンバー分析 Vol.6:鈴木伸之

鈴木伸之、不良役からラブコメまで多彩な演じ分け 公言しているハリウッドへの挑戦にも期待

 ドラマ、映画、CM、舞台と幅広いステージで活躍を続けている劇団EXILE。本稿では、劇団EXILEのメンバー一人ひとりのフィルモグラフィをたどりながらその魅力を分析。第6回目は、今年配信&放送が決まっている『お茶にごす。』(テレビ東京)で主演を務める鈴木伸之について紹介していく。(編集部)

 今年、テレビ東京ほかで放送の『お茶にごす。』に船橋雅矢役で主演することが決定している鈴木伸之。この作品は、西森博之の原作ということでも話題となっている。

 このことが話題となるのは、鈴木が西森博之原作のドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で片桐智司役を演じているということが大きいだろう。『今日から俺は!!』で演じた片桐智司は、伝説の不良男子高校の番長であった。このときは、グレーの長ランにリーゼント、無口でどっしりとしていて、誰から見ても強さが伝わるキャラクターであった。この役は鈴木にとっての当たり役となったと言ってもいいだろう。

 一方、『お茶にごす。』で演じる船橋は、中学時代は強面で周囲から恐れられていたが、高校入学を機に、平穏な日々を過ごしたいと茶道部に入部することとなり、少しずつ変わっていくというキャラクターだ。同じ西森作品で、鈴木がどのようにキャラクターを演じ分けるのかも楽しみなところである。

『お茶にごす。』(c)西森博之/小学館 (c)「お茶にごす。」製作委員会

 鈴木はこれまでも不良役を演じることが多かった。以前、雑誌『Audition Blue』のインタビューで「不良役の極意」について聞いたことがある。鈴木は、「一個言えることがあって。基本ね、動かない。不良はちょろちょろしてなくてどっしりしてるんですよ。それが共通点としてありますね」と答えてくれた。

 LDHの若手メンバーが総出演の『PRINCE OF LEGEND』でも、鈴木は王子は王子でも「ヤンキー王子」を演じた。ここでは、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカリストである川村壱馬と異母兄弟の役を演じ、無骨だが純粋なところのある「Team京極兄弟」は、ほかのチームの王子像とはまた違う魅力を放っていた。

 振り返ってみると、鈴木はLDH内で「兄弟」役を演じることが多い。劇団EXILEが総出演の『勇者のために鐘は鳴る』でも、2010年の第3回劇団EXILEオーディションの合格者として同期で、現在も仲が良いという町田啓太と兄弟の役を演じた。2人がお互いの過去をひきずりつつも、剣を交えるシーンは見どころの一つになっていた。

 LDHと言えば今や「アクション」も彼らを表す象徴にもなっているが、鈴木のアクションで印象に残るのは、劇団EXILE総出演の映画『jam』の、車椅子に乗った祖母を押しながら商店街を歩き、ときに金槌を持ち、一切しゃべらずに黙々と自分を刑務所送りにしたやくざに復讐を遂行していくテツオ役だろう。

 このように、鈴木には、“アクション”ד不良役”というイメージも強いが、その一方で、プライムタイムのドラマや、ラブコメディなどにもたくさん出演している。

 2017年に放送された『あなたのことはそれほど』(TBS系)では、波瑠演じる主人公の渡辺美都が学生時代に一目ぼれして以来、思いを寄せてきたイケメンの有島光軌を演じた。2人はお互いに結婚しており、不倫関係となる。改めて第1話を観返したが、偶然再会して飲みに行ったバーで時計を見たり、聞いているようで美都の話を上の空で聞いてないときがあったり、その延長戦であっさりとホテルに誘う有島(とそれに応じる美都)の「軽さ」や、罪の意識の薄さがこのドラマの重要なカギとなっていたように思えた。「また会いたい」と言って浮かれる美都と、戸惑う有島の表情のギャップの演技も興味深かった。

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