窪田正孝は“2020年の顔”に 朝ドラ『エール』などで磨き上げた主役としての器

 この流れに続くかたちで、主演ドラマ『エール』の放送がはじまった。それも本作は、国民的ドラマともいえる朝ドラだ。テレビをつければ、そこには窪田の顔。彼は文字どおり、“朝の顔”となったのだ。窪田が演じた古山裕一の存在、そして活躍は、人々の記憶に刻まれたことだろう。日本の朝を活気づけてくれるものだと思っていたのもつかの間、新型コロナウイルスの影響は私たちの生活だけでなく、同作『エール』にも与えられることとなった。

 撮影は一時中止に追い込まれ、日々の放送は、すでに放送された回を振り返る(=再放送する)という異例の事態。毎日放送されるものなのだから、作り手サイドの困難も素人ながら想像できる。撮影が難航したことなどによって、作品を背負う窪田自身も大きな不安感に苛まれたのではないだろうか。いや、確実にそうなのだろう。それでも、彼はこの1年を主演俳優として走りきった。彼のその姿からエールを受け取った人は多いはずだ。

『エール』(写真提供=NHK総合)

 こうした結果、主役としての大きな器の持ち主であることを存分に見せつける1年を過ごした窪田正孝。私たちの多くが、『エール』を率いる彼とともにこの困難な日々を歩んできたのだから、窪田は“朝の顔”のみならず、“2020年の顔”だともいえるかもしれない。果たして、2021年はどんな顔を見せてくれるのか。磨き上げた器の輝きを、生の舞台でも観たいものである。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』総集編
NHK総合
12月31日(木)前編 14:00〜15:23
12月31日(木)後編 15:28〜16:56

NHK BSプレミアム
12月29日(火)前編 7:30〜8:53
12月30日(水)後編 7:30〜8:58

NHK BS4K
12月28日(月)前編 9:45〜11:08
12月28日(月)後編 11:08〜12:36

出演:窪田正孝、二階堂ふみほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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