『姉ちゃんの恋人』の有村架純は愛らしさ抜群! コロナ禍を描く同時代性にも注目

 2017年に放送されたNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』で主演を務めた有村架純と、脚本家の岡田惠和。同作以外にも有村のスクリーンデビュー作となった『阪急電車 片道15分の奇跡』など、これまで何度も組んできた“黄金コンビ”が6度目のタッグを組んだカンテレ・フジテレビ系列の火9ドラマ『姉ちゃんの恋人』が10月27日にスタートした。

 高校時代に両親を事故で亡くし、3人の弟たちを養うためにホームセンターに就職した安達桃子(有村架純)。働き始めて9年が経ち、世の中の日常が大きく変わることの影響を受けながらも、弟たちや職場の仲間たちに囲まれて幸せな毎日を送っていた。そんなある時、クリスマスに向けて店内の装飾を大々的に変えることが決まり、リーダーに任命された桃子。開かれたミーティングの場で、同じホームセンターの配送部で働く吉岡真人(林遣都)と知り合い、その人柄に惹かれていくようになる。

 第1話からホームセンターの同僚たちと“久々に”飲みに行くというくだりや、配送トラックの中で繰り広げられる悟志(藤木直人)と吉岡の会話。桃子が回想する、マスクに群がる客
の姿。そして弟たち(高橋海人、日向亘、南出凌嘉)が自粛期間中に料理が得意になったという話など、そこかしこに「新型コロナウイルス」によって一変した世の中のムードを感じさせる描写がありながらも、あえて「コロナ」というワードが登場しないのがこのドラマのひとつの肝であろうか。明示しなくても、視聴者全員の共通認識として“それ”が存在していることを作り手が把握している。その点では、この時期にしかできないドラマであることを感じずにはいられない。

 そうしたなかで、弟たちにとっての両親の代わりを務める主人公が誰かと出会い、繋がりを持っていくというテーマ性。それはまるで、有村と岡田のタッグで制作されて好評を博したWOWOWの連続ドラマW『そして、生きる』に近しいものを感じる。同作は東日本大震災のボランティアで出会った男女の10年間を描く物語で、奇しくも本作と同じように有村の演じる主人公は幼い頃に両親を亡くしたという設定だった。東日本大震災からまもなく10年。幾度となくそれを題材にした映像作品が作られてきたが、今後はやはり「コロナ」が映像作品のテーマの中枢に置かれることになるのだろうか。

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