人柄こそが花江夏樹の魅力

　竈門炭治郎を演じる花江夏樹は、2011年に声優デビューして以降、『東京喰種トーキョーグール』（TOKYO MXほか）の金木研、『あんさんぶるスターズ！』（TOKYO MX、BS11ほか）の巴日和、『食戟のソーマ』（TOKYO MX、BS11ほか）のタクミ・アルディーニ、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』（MBS）のビスケット・グリフォンなど数多くの人気キャラクターを演じ、バトルものからコメディまで何でもこなす幅の広さは業界屈指の人気声優だ。どこか内向的な雰囲気がありながら、その奥には力強さや温かさが感じられる声は、非常に親しみやすくアニメファンからも多くの共感を得ている。

　そうした親近感のある声と、トレードマークの眼鏡の下で見せるやさしい雰囲気の笑顔から、早い段階からラジオやインターネット番組などでも活躍している。2015年からはテレビ東京系の子ども向け番組『おはスタ』に出演し翌年からMCを務めたほか、2018年からYouTube公式チャンネルを開設して、ゲーム実況を配信。ゲームキャラクターにその場でアテレコしたり、ゲームのセリフをキャラで読んだり、友だちの人気声優を招いて配信を行うなど、声優ならではのゲーム実況が話題を呼んでチャンネル登録者数は172万人に達している。また、『B-PROJECT』や『スタミュ』など数多くのコンテンツでキャラクターソングを歌い、2016年には、テレビアニメ『斉木楠雄のΨ難』（テレビ東京系）のテーマソング「青春は残酷じゃない」でCDデビューも果たしている。

　今年10月2日に惜しまれつつ『おはスタ』を卒業した花江。「子育てに専念するため」という卒業理由も実に花江らしく、多くの共感の言葉が寄せられた。花江が演じる竈門炭治郎の原動力である、家族愛や兄妹愛、鬼になってしまった人の心にも寄り添おうとするやさしさは、彼がもともと持っている人柄にも通じる。そうした演技を越えたリアルが、多くの共感を生んでいるのだろう。

　また、花江や鬼頭らに続き、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で、柱のひとり煉獄杏寿郎を演じて注目を集めているのが日野聡だ。

　サンフランシスコ出身で、演劇や海外ドラマの吹き替えを足がかりに、2003年にアニメ『一騎当千』（AT-X）の周瑜公瑾で、テレビアニメの声優としてデビューした。『ハイキュー!!』（MBS／TBS系）の澤村大地、『金色のコルダ』（日本テレビ）の冥加玲士、『弱虫ペダル』（テレビ東京系）の新開隼人と、これまで多くの人気シリーズで重要な役どころを好演。放送中の『憂国のモリアーティ』（TOKYO MXほか）では、主人公のウィリアムに絶対の忠誠を誓う右腕セバスチャン・モランを演じている。主人公を支えながら確固たる存在感を発揮し、人気作品には欠くことのできない名バイプレイヤーといった活躍をしている。

　『鬼滅の刃』は花江、鬼頭といったメインどころに注目が集まるが、柱を演じる日野聡、櫻井孝宏、早見沙織、小西克幸、花澤香菜、河西健吾、杉田智和、関智一、鈴村健一といった脇を固めるベテラン勢の存在感も際立っている。超一流がひしめく“鬼滅の声優”の活躍からは、まだまだ目が離せない。

■榑林史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ／クラシック、ロック、J-POP、アニソン／ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル､MusicVoice､リアルサウンド､music UP’s､アニメディア､B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も。

■公開情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
全国公開中
声の出演：花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔
原作：吾峠呼世晴（集英社『週刊少年ジャンプ』連載）
監督：外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督：松島晃
脚本制作：ufotable
サブキャラクターデザイン：佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン：小山将治
コンセプトアート：衛藤功二、矢中勝、樺澤侑里
撮影監督：寺尾優一
3D監督：西脇一樹
色彩設計：大前祐子
編集：神野学
音楽：梶浦由記、椎名豪
主題歌：LiSA「炎」（SACRA MUSIC）
アニメーション制作：ufotable
配給：東宝・アニプレックス
(c)吾峠呼世晴／集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト：https://kimetsu.com
公式Twitter：＠kimetsu_off