美村里江「映画は遠い存在だった」　青山真治監督と語り合う『空に住む』で得たもの

青山「これからへの気持ちにスイッチが入った」

――とても頷けるお話でした。映画は時代を映すものですが、コロナ禍を経験して、より響く作品になっていると思います。

美村：いろんな人の悩みや幸福とは何かというのがチラホラ出てきて、自分と繋がったり、遠かったりというのが面白い作品だと思います。今、本当に多様化社会で、幸せも暮らし方もたくさんあって、逆に悩む時代ですが、今回、新型コロナが流行したことで、どれが自分の人生にとって最優先事項なのかということを、もう一度選ばなければならなくなりました。世界的な感染という問題は大きすぎますが、身近なところで、「本当はどうしたいの？」と、改めて自分のなかにフォーカスすることが、心の健康には大事かなと思いますし、この映画がその一助になれば嬉しいです。

青山：今年の前半というのは、家から出られない状態が続いていて、やっぱりジレンマが当然生まれるわけです。何にもできないのかという。それに対して、僕は割とサボっていたんです。「何もできないなら、何もしない！」と。

美村：あはは！

青山：でもこの作品の公開が決定したことで、「もうサボっている場合じゃない」と気持ちにスイッチが入りました。次のこともやらなきゃと。今、ガンガン動き出しています。自分のなかで、ですけどね。「これもやりたい」「あれもやりたい」とあれこれと考えているところです。

――そうなんですね！　本作もステキですが、これから先の作品もとても楽しみにしています。

青山：はい。やれることは全部やっていこうと思っています。

※高橋洋の「高」は「はしご高」が正式表記

■公開情報
『空に住む』
10月23日（金）公開
出演：多部未華子、岸井ゆきの、美村里江、岩田剛典、鶴見辰吾、岩下尚史、高橋洋、大森南朋、永瀬正敏、柄本明
監督・脚本：青山真治
脚本：池田千尋
原作：小竹正人『空に住む』（講談社）
主題歌：三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「空に住む〜Living in your sky〜」（rhythm zone）
プロデューサー：井上鉄大、齋藤寛朗
配給：アスミック・エース
製作：HIGH BROW CINEMA
(c)2020 HIGH BROW CINEMA
公式サイト：soranisumu.jp