『キワドい2人』は社会派『MIU404』に対し人情派?  “バディもの刑事ドラマ”の振れ幅を堪能

 9月11日、いよいよ『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』(TBS系、以下『キワドい2人』)が、初回オンエアを迎える。人気キャストによる凸凹バディ刑事ドラマ。しかもTBSの金曜ドラマ枠……と聞くと、先日熱狂うずまくなか最終回を迎えた『MIU404』を思い出す視聴者も少なくないのではないだろうか。

『キワドい2人』は“人情派”刑事ドラマ?

 見て見ぬふりをした社会の影。誰でも間違えることのある人生の分岐。そして現実でも続く姿なき敵との闘いを濃厚に描いた『MIU404』。この変化の大きい時代を真正面から見つめ、ときには自分の正義も過信することなく、思考を停止させずに生きていことする人々の心に深く刺さった。

 そんな社会派『MIU404』に対し、『キワドい2人』は人情派。第1話を一足先に試写で拝見したのだが、主人公・神崎(山田涼介)は教科書どおりの優等生。ときに融通がきかないこともあるが、それも微笑ましいキャラクターだ。まっすぐに自分のできることを模索しながら不器用に進んでいく姿は、山田自身が持つストイックな姿と重なるところもある。

 一方、バディを組む黒木(田中圭)は、事件解決を第一に考えて動く、破天荒だけど根はいいヤツなのだ。最近の出演作では周りに翻弄されたり、女性に流されてしまったりと、振り回される役柄が多かった田中だが、どうやら本来の田中は黒木と同じくらい豪快なのだと、記者会見でも笑いを誘っていた。

 実は2人が、椎名桔平演じる神崎賢造を父に持つ異母兄弟なのだ。そんなこのドラマ最大の秘密が、イントロダクションであっさりと明かされているのも驚きだから、先週までギンギンにネタバレ厳禁モードになっていた視聴者にとっては少々肩透かしにあうかもしれない。

 無論、刑事ドラマゆえに、毎回事件は起こる。第1話から池袋を舞台に、かなり大掛かりな撮影シーンもあり、制作サイドの気合いが感じられるのだが、その事件の内容にも、犯人の動機にも人間味を感じずにはいられない。

関連記事