宮藤官九郎脚本『JOKE』は粋なホラー作品? 生田斗真の一人芝居とは思えない臨場感

 さらに本作は、ほとんどのシーンが主演の生田斗真の一人芝居で展開された。お笑い芸人という役のため、体を張って大振りのギャグを見せたり、配信先に向かってツッコミをするようなシーンも器用にこなし、とても一人芝居とは思えない臨場感を見せた。我々視聴者にとってはドラマ内の配信中のコメントが表示されるため自然に見える芝居も、現場で芝居をする生田にとっては一人でテンションを上げて、一人で会話を作り上げていることが推測される。あれだけ自然な「配信者」の姿を演じきれる力があってこそ、本作はより輝きを増す。

 ステイホームが叫ばれる中、SNSアカウントの乗っ取りやイタズラ宅配など、このような事件が実際に家で起きたらどうしようとヒヤリとさせられる演出も多かった『JOKE~2022パニック配信!』。気温が上がりうだる暑さの中、粋なホラー作品によって肝を冷やされた。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『JOKE〜2022パニック配信!』
NHK総合にて、8月10日(月)22:00〜22:45放送
作:宮藤官九郎
出演:生田斗真、柄本時生、松本まりか、岡部たかし、田村健太郎、一色洋平(声の出演)、佐々木史帆(声の出演)
制作統括:訓覇圭(NHK)、仲野尚之(アックスオン)、後藤高久(NHKエンタープライズ)
演出:水田伸生(アックスオン)
写真提供=NHK

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