長澤まさみ×阿部サダヲ×奥平大兼の3人が挑んだ難役の裏側 映画『MOTHER マザー』を語り合う

 映画『MOTHER マザー』が7月3日に公開される。『新聞記者』『宮本から君へ』などを手がけた河村光庸プロデューサーと『光』『タロウのバカ』の大森立嗣監督がタッグを組み、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て、新たな物語として映画化した本作では、主演の長澤まさみがシングルマザーの秋子を演じ、社会の闇へ堕ちていく母親役に挑戦。さらに、秋子と内縁の夫になるホスト・遼を阿部サダヲ、息子・周平役を新人・奥平大兼が演じている。

 今回リアルサウンド映画部では、長澤、阿部、奥平の3人に、お互いの印象や撮影時のエピソードについて話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

阿部「長澤さんだというので、出演を決めました」

ーー数年前に実際に起こった事件がもとになっている今回の作品、最初に話を聞いたときはどのような反応でしたか?

長澤まさみ:(以下、長澤):実際の事件のことは知らなかったんですけど、脚本を読んですぐに出演を決めました。自分が演じるであろう役柄に共感はなかったのですが、何かつかまれる感じがあって、心の中にすごく残るものがありました。

阿部サダヲ(以下、阿部):事件のことは僕も知らなかったです。お話をいただいて、まず誰が秋子を演じるのか聞いたら、長澤さんだというので、出演を決めました。

長澤:(笑)。そのときは決まってなかったでしょ?

阿部:いや、ほんとに聞いたあとに決めたんだよ(笑)。最初は脚本だけもらったので、「誰が秋子をやるんですか?」って聞いたら、「長澤さんみたいです」って言われたので、「はい、やらせてください」って。

長澤:私も、阿部さんが遼役をやると聞いて、意外だなと思いました。

阿部:ここまでひどい役はやったことないですから(笑)。

長澤:今までは“おもしろくて鋭い人”を演じられていた印象です。

阿部:そう。今までやってきた役は、どこかに救いがあったんだけど、遼にはない。長澤さんも、秋子みたいな役をやるイメージが全然なくて。長澤さんが“子どもを持つ母親”を演じる時点で、ちょっと見てみたいと思いました。それで、見れるんだったら間近で見たいなって(笑)。

長澤:(笑)

ーー奥平さんはこの作品がデビュー作となるわけですが、演技自体も初めてだったんですか?

奥平大兼(以下、奥平):初めてでした。オーディションの1カ月くらい前にちょっと練習したぐらいで、それ以外は演技経験もまったくありませんでした。だから、プレッシャーもすごかったです。脚本の読み方も分からないぐらいだったので、とりあえずミスだけはないように……という感じでした。

ーーオーディションの時点で、長澤さんや阿部さんが出演するのは知っていたんですか?

奥平:いえ、知りませんでした。周平役に決まってちょっと時間が経ってから、他のキャストの方々の名前を教えていただいたんですけど、怖かったですね。当時、長澤さんが出演されていた『キングダム』がヒットしていて、友達の間でも話題になっていたんです。まさか実際にお会いできるとは思っていなかったので、ビックリしました。そして、阿部さんに関しては、僕が初めて名前を知った俳優さんだったんです。

阿部: えっ、そうなの? すごい!(笑)

奥平:そうですよ!(笑)『マルモのおきて』(フジテレビ系)がきっかけでした。

長澤:『マルモのおきて』のとき何歳だったの?

奥平:7歳で小学2年生だったと思います。

阿部:僕からすると緒形拳さんみたいな感じですよ。初めて名前を覚えた俳優ってすごいですね!

長澤: 私はともさかりえさんかな。

ーーそんな憧れに近い存在だったお2人と実際にお会いしてみてどうでしたか?

奥平:長澤さんは一番最初に会ったときにめちゃくちゃ緊張してしまって、目が合わせられなかったんです。2回目からは大丈夫だったんですけど……。

阿部:早いな!

長澤:すぐ大丈夫になっちゃった(笑)。

奥平:(笑)。阿部さんはドラマで見ていた“いいお父さん”というイメージがあったのですが、初めてお会いしたのが撮影中で、阿部さんがすごく怒鳴るシーンだったので、「こんな演技もされるんだ!」という感じでした。

長澤・阿部:ははは(笑)。

長澤:こんなふうに、まだあまり現場慣れしていない普通の子で、すごくおもしろいんです。業界慣れしている子が多い中で、こういう素直な存在ってなかなかいないと思うんですよね。

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