『JIN-仁-』の綾瀬はるかは時を経た2020年の救世主? 国民的女優となった節目の作品に
再放送が話題を呼んでいる名作ドラマ『JIN-仁-』(TBS系)。今作は、ヒロインを務める綾瀬はるかにとっても大きなステップアップとなった作品で、綾瀬演じる咲の健気で切ない姿に、放送から10年以上経った今でも大きな反響を呼んでいる。
綾瀬は、2000年の高校1年生・16歳のときに、ホリプロスカウトキャラバンで審査員特別賞受賞をきっかけに芸能界に入り、2001年にドラマ『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)で女優デビュー。ただ、特に女優になりたい目標があったわけでもなく、デビュー当時は3年やってダメなら広島に帰ろうと決めていたという。
そんな綾瀬の役者人生の転機となったのが、2004年のドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』(以下、『セカチュー』)(TBS系)。原作本を読んで感動した綾瀬が、初めて心の底からやってみたいと思ってオーディションに臨んだ作品だ。白血病のヒロインを演じるために髪を剃り、体重を7キロ減らし、この作品をやりきったら辞めてもいいという覚悟でアキ役に全てを捧げて取り組んだという。そうした見た目の部分の工夫だけでなく、喜怒哀楽を全力で演じる綾瀬の姿が、青春を目一杯生きたアキに見事に重なり、視聴者に感動を与えた。2018年の『サワコの朝』(TBS系)で綾瀬は、「夢や目標があって(女優を)始めた訳じゃないから、目の前にあるものに全力投球だった」と当時を振り返り、髪を剃ったことに関しては自ら「剃ってみたい!」と語ったというエピソードも披露。7キロ痩せた後に、回想シーンを撮るから体重戻せと言われ4日で戻すなど、ロバート・デ・ニーロやクリスチャン・ベールのような鬼才俳優たちさながらの逸話の数々を笑顔で話していた。
以前、大河ドラマ『八重の桜』に主演した際のコメントで「私にとっての『ならぬこと』は、手を抜くこと」と答えていたり、負けず嫌いの体育会系で、できないことが悔しくてホテルに帰って1人で泣くこともあったという綾瀬。奇しくも最後の覚悟で挑んだ『セカチュー』が、根っからの体育会系気質と役者魂を覚醒させることになったのだ。また、『セカチュー』の脚本家である森下佳子は、後に『白夜行』(TBS系)、『MR.BRAIN』(TBS系)、『JIN-仁-』、『わたしを離さないで』(TBS系)、『義母と娘のブルース』(TBS系)など、綾瀬とのタッグで様々な名作を生み出している。森下との出会いが、綾瀬の引き出しを開けていき、女優として成長させたといっても過言ではないだろう。