『麒麟がくる』道三が見せた、父の苦しみと真実の愛 十兵衛に託した「大きな国」
そして道三もまた、同じように苦しんでいる。道三は上に立つものが嘘をついてはいけないとう考え方を持っている。高政に家督を譲ったが、出生を偽る高政はとても道三の理想とするような「大きな国」を作り、とりまとめられるような器ではなかった。道三は、そんな息子と直接対決することで、父としての最後の務めを果たす。最後まで高政と向き合い、負けを覚悟の上で戦を交わす。これこそが、道三が見せた真実の父の愛だった。
最後まで戦に反対し、東奔西走していた十兵衛だが、戦は起こってしまった。十兵衛にとって高政は共に勉強してきた学友であり、時には道三を伐とうと話し合ったこともある間柄。しかし十兵衛は道三との思い出を心に浮かべ、最後には「敵は高政様!」と道三の味方になることを決める。十兵衛にとっても苦渋の決断だっただろう。長谷川の鉄砲を構える瞳と苦悶の表情からは、そんな十兵衛の苦しみや葛藤が見て取れた。道三は夜が明けるとき、「信長(染谷将太)となら、そなたやれるやもしれん」と十兵衛に言い残す。この言葉は後の十兵衛に大きな転機をもたらすだろう。いよいよ次週は長良川の戦いだ。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
大河ドラマ『麒麟がくる』写真提供=NHK
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00〜放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00〜放送
主演:長谷川博己
作:池端俊策
語り:市川海老蔵
音楽:ジョン・グラム
制作統括:落合将、藤並英樹
プロデューサー:中野亮平
演出:大原拓、一色隆司、佐々木善春、深川貴志
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/kirin/
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