南沙良、“型にはまらない”が表現力のカギに? 「ずっと“いろんなもの”になってみたかった」
映画『もみの家』が3月20日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開中だ。2017年に『真白の恋』でデビューを飾った坂本欣弘監督が自身の生まれ育った富山県を舞台に撮り上げた本作は、心を閉ざした16歳の彩花が、不登校やひきこもりなどの問題を抱える人々の自立を手助けする施設「もみの家」で成長していくさまを描いた人間ドラマ。
主演を務めたのは、2018年に公開された『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で、ブルーリボン賞や報知映画賞など数々の新人賞を受賞し、現在映画やCMに引っ張りだこの南沙良だ。撮影当時、主人公の彩花と同じ16歳だった南に、役作りや撮影について振り返ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
「自分と重なる部分がたくさんあった」
ーー今回の作品は1年かけて撮影が行われたそうですね。最初に脚本を読んだとき、どのような印象を抱きましたか?
南沙良(以下、南):初めて台本を読ませていただいたとき、その風景が頭の中にパーと広がったんです。それはなかなかないことなので、その風景を持ったまま1年間を過ごしたいと思いました。
ーー彩花は心を閉ざして不登校になった高校生という設定です。役作りはいかがでしたか?
南:自分と重なる部分がたくさんあったので、最初はあまり好きになれなかったんです。ちょっと近親憎悪みたいな……そういう感情を持ちながらお芝居をしていました。何かはっきりとしたきっかけがあったわけじゃなかったんですけど、途中で彩花が成長できていると自分で感じることができたんです。そこから少し気持ちが楽になったというか、これでいいんだなという安心感が芽生えました。
ーー重なる部分というのは具体的にどのあたりですか?
南:自分の殻に閉じこもってしまうところや、人との距離感をうまく測れないところです。逆に私自身とかけ離れた部分があまりなかったので、すごく入り込みやすかったです。
ーー撮影当時、彩花と同じ16歳だったということも大きかったのかもしれませんね。
南:全然考えたことなかったです(笑)。でも、確かにそうかもしれません。同い年だったのもたぶん関係があったと思います。
ーー映画の舞台にもなっている富山県での撮影はどうでしたか?
南:富山県には今回の撮影で初めて行かせていただいたんです。普段自然に触れる機会があまりないので、色々なことがすごく新鮮でした。特に、散居村の景色が一望できる夕日のシーンが一番印象に残っています。すごく美しくて、感動的でした。
ーー田んぼに落ちて泥だらけになるシーンもありましたね。
南:田んぼに落ちるシーンは本当に大変でした(笑)。泥の中から上がって道を歩くというシーンだったんですけど、撮影当日がすごく風の強い日で、泥がどんどん乾いてきちゃって。なので、自分で泥を塗り直しながら撮影していました(笑)。一発OKだったんですけど、失敗できないなと思って緊張しました。
ーー獅子舞や農作業に挑んだりと、いろんな経験もされたと思います。一番大変だったシーンは?
南:一番大変だったシーン……。やっぱり農作業ですかね。もちろんやったことはなかったので、農作業のシーンを撮った次の日は筋肉痛になっていました。特に背中が一番痛かったですね。それこそ泥が重くてまったく動けないんですよ。本当に大変でした。