稲垣吾郎、『スカーレット』大崎役には素の要素も? クリエイティブな一面にも注目

 NHK連続テレビ小説『スカーレット』の放送が残り1カ月を切った終盤で新たに登場した稲垣吾郎。これまでの朝ドラでも、中盤や終盤に中途参加する登場人物たちは多くいたが、稲垣の出演は特に話題となっている。

 稲垣が演じるのは、最終幕を支える人物として最重要とも言える医師・大崎茂義。先週の最後の放送で大崎は、ヒロイン喜美子(戸田恵梨香)の息子・武志(伊藤健太郎)の病名が「慢性骨髄性白血病」だと告げた。大崎は今後、武志の主治医として主人公たち家族を支えていくことになる。

 今回、ライターの麦倉正樹氏に、稲垣の俳優としての魅力について尋ねてみた。これまでの作品においての稲垣の起用について、麦倉氏は感慨深げに語った。

「木村(拓哉)さんは別格として、SMAPの中で稲垣さんは、照れずにキザなことをできるナルシストや天然といったわかりやすい“イメージ”を、一般の人々に広く持たれているのではないでしょうか。なので、これまで稲垣さんが映画やドラマで演じてきた役柄は、そのイメージに当てはめていくか、敢えてそれを大きく外していくか、そのどちらかのタイプのキャラクターが多かった気がします。前者の代表的なものを挙げるならフジテレビのドラマ『金田一耕助』シリーズ、後者であれば三池崇史監督の映画『十三人の刺客』(2010年)などがありました。とりわけ、『十三人の刺客』で稲垣さんが演じた冷酷無比な狂気の藩主・松平斉韶は、その鮮烈な印象もあって、公開当時かなり話題になった記憶があります」

  そんな稲垣が演じる役どころに、これまでと違うものを感じたのが、昨年公開された40歳手前の男たちの友情や家族愛を描いた映画『半世界』(2019年)だったという。

「先ほど言ったように、それまでの稲垣さんは、本人のイメージ通りか、敢えてそれを外すか――あるいは、かつて『SMAP×SMAP』(フジテレビ)で披露していたコント風の役どころがほとんどだったと思うのですが、『半世界』で演じていた彼の役は、そのどれでもない、実年齢に合った等身大のキャラクターとも言うべきもので、そこに新鮮さを感じました。稲垣さんが、そういう役を魅力的に演じるようになったのは、ごく最近のことで……今回の朝ドラにおける役どころも、その延長線上にあるような、特に気負ったところのない、ごく自然体の魅力に溢れたキャラクターになるのではないでしょうか」

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