『コタキ兄弟と四苦八苦』で独特な存在感を発揮 リアリティのある古舘寛治の巧みな演技

 数々の映画やドラマにバイプレイヤーとして出演している古舘寛治。『コタキ兄弟と四苦八苦』(テレビ東京系)では主演として、「レンタルおやじ」を始めた無職の兄弟の長男・一路を演じ、巧みな演技と独特な存在感を発揮している。

 古舘はニューヨークで演技を学び、帰国後、平田オリザ主宰の劇団「青年団」に入団、舞台を中心に活躍した。古舘の自然体な演技は、登場人物同士の関係性を、すんなりと意識させる。


 例えば、記憶に新しい、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK総合)で古舘が演じたのが可児徳だった。大日本体育協会初代理事長・嘉納治五郎(役所広司)に振り回される役柄だが、コミカルなやりとりの中に嘉納と可児の信頼関係を感じさせた。『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)では古田新太演じる沼田の行きつけのバーのマスター・山さんを、『リーガルハイ』(フジテレビ系)では堺雅人演じる古美門のライバル法律事務所の弁護士・磯貝を、NHKの朝ドラ『ごちそうさん』や『あまちゃん』にも出演し、脇役として主役を引き立たせながらも、その特徴的なキャラクター像を視聴者の心に残している。

 そんな古舘が今作で演じる一路は、滝藤賢一演じる二路の兄で、無職で独身、真面目すぎてうまく生きられないキャラクター。その真面目さは、褒められるタイプというよりも融通が効かないタイプであり、ちゃらんぽらんな二路や喫茶シャバダバの看板娘・さっちゃん(芳根京子)から意見を押し切られることもある。だが「レンタルおやじ」の無茶な依頼に“四苦八苦”しながらも、彼なりに依頼に応えようとする、不器用だが優しい姿はとても魅力的。また、一路の真面目すぎる言動の至る所から、8年前に勘当した弟・二路に文句を言いつつも突き放さないといった、人の良さが滲み出ているように感じる。

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