それに実際に撮影現場に行ってみると、この作品に登場する悪目立ちしてしまう人、仕切りたがり屋、自意識過剰な者、俳優に会うのが目的のファン、本業が俳優でありながらエキストラ仕事に辛酸を嘗めている者などのほか、言うことを聞かない素人のちびっ子たちや、友人の誘いで仕方なく参加してその大変さにうんざりしている者などを目にする。そしてもちろん、これだけの人々が集まれば現場の統制はうまく取れず、若手のスタッフはいつも板挟みの状態だ。しかし、俳優やスタッフの現場に臨む姿勢や想いがさまざまであるように、エキストラである彼らもまた多種多様な想いを抱えていて当然だ。こうしてみると撮影現場とはある種、人々の思惑や営みが垣間見え、より浮き彫りとなる、社会の縮図的な場所でもあるのではないか。本作は少々“難アリ”な人々にフォーカスしているが、彼らの滑稽さを収めながらも、“フォーカス”という言葉が指し示す通り彼らに光を当て、その存在を肯定しているように思える。そこに成長や変化が見られるかは、各人しだいだろう。

　今夜の第7話の“主役にしてエキストラ役”を演じるのは渡辺哲。ここにきて大ベテランがエキストラを演じる。これまでにいろいろな“あるある”が出つくしているだけに、さて、何をしでかすのか。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter。

■放送情報
『エ・キ・ス・ト・ラ!!!』
カンテレにて、毎週木曜深夜0:55～1:25放送（関西ローカル）
出演：吉村界人、山谷花純、水上京香、芹澤興人、中林大樹
1話：間宮祥太朗
2話：橋本マナミ
3話：松尾諭
4話：江上敬子（ニッチェ）
5話：筧美和子
6話：笠松将
7話：渡辺哲
（8話～10話はレギュラーキャストのストーリー）
スタッフ・企画：岸本鮎佳
脚本：岸本鮎佳、モラル、ニシオカ・ト・ニール
演出：熊坂出、古畑耕平、片山雄一
プロデュース：米田孝（カンテレ）、岡光寛子（カンテレ）、清家優輝（ファインエンターテインメント）
音楽：小田切大
制作著作：カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト：https://www.ktv.jp/extra/