2020年新春特別企画

吉沢亮が語る、プレッシャーを乗り越える原動力と2020年の抱負 「まだ守ってる場合じゃない」

 リアルサウンド映画部では、2020年新春特別企画として、連日に渡り、今注目したい俳優たちのインタビューをお届け。トップバッターは、昨年ヒットした映画『キングダム』に出演し、『空の青さを知る人よ』では声優初挑戦、さらにNHKの朝ドラ『なつぞら』で大反響を起こしていた吉沢亮。

 「勝負の年だった」と答えた吉沢の2019年、そして、1月3日に放送を迎える『半沢直樹II エピソードゼロ 〜狙われた半沢直樹のパスワード〜』(TBS系、以下『半沢直樹』)の主演への意気込みを語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「もうやるしかない」


ーー昨年は朝ドラの出演をはじめ、2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主演も発表されたりと、大活躍な一年でした。

吉沢亮(以下、吉沢):作品数が多いわけではありませんでしたが、一つ一つが勝負の一年でした。ここでしっかり評価されないといけないという気持ちで挑むのを毎回テーマにしていたので、ドキドキハラハラな年ではありましたけど、『半沢直樹』や大河もやらせていただくことになって、いい形になっているんじゃないかなという気はします。

ーービジョンを立ててやってきているんですか?

吉沢:そうですね、計画みたいなものは立てながらやってはいます。特に2018年は、色んな作品に出て露出して、とにかく名前を知ってもらおうという年にしてました。ちょうど夏クールに映画は『BLEACH』と『銀魂』というジャンプ漫画原作の実写化の大きい作品が2本も公開されて、そのタイミングでドラマ2本をやることになり、「結構、暑い夏になるんじゃねえか……!」とウキウキしながら話していたんです。けどいざやってみたらもう死にそうになりました(笑)。

ーー結果、暑い夏だったと……(笑)。デビュー10年も迎えて、役者としての手応えや自信は感じていますか?

吉沢:あんまりないです。昔は「もっともっと俺やれるのにな」と感じていたんですけど、最近は逆に、周りの評価に自分の実力が追いついてきてないなって。その頃はただ勘違いしていたのかもしれませんが、もっと燃えていた気がするんです。でも、最近は自分への期待値が高まってきているように感じるなかで、自分の実力で答えられるのかという不安もあります。けど、そんなこと言っててももうやるしかないので、とにかくちゃんとやろうと。

ーー今回の『半沢直樹』も大抜擢だと思うのですが、“大役”はワクワクとプレッシャーどちらが大きい?

吉沢:やってる時は楽しいです。これだけの作品だから素晴らしい役者さんが集まるので、そういう人たちとお芝居するのはすごく楽しいことではあります。けど、公開する直前が1番プレッシャーを感じますね。果たして俺でよかったのかとすごいネガティブになっちゃいます、いつも。

ーーネガティブなイメージは意外でした。

吉沢:でも公開されたらどうでもよくなります。考えなくなります(笑)。

ーー毎回そういう気持ちに?

吉沢:なってる気がする。『半沢直樹』もそうですが、元からファンがいる作品、それこそ漫画の実写化とか、期待を裏切ったらどうしようという思いが強くなってしまうので、そこでネガティブになりますね。

ーーそういう思いになってしまった時の原動力ってなんでしょう?

吉沢:なんだろう……でも、そういう不安要素が原動力なのかもしれません。もう1回台本を読まないとセリフ言えないかもとか、とにかくネガティブなんですが、多分ネガティブじゃないとちゃんとやらないんじゃないかな。僕はこの仕事をする上ではそういう思いをしてる時の方が、逆に良いんじゃないかなと。

ーー『半沢直樹』のプレッシャーは相当大きそうですね。

吉沢:相当ファンがいるだろうし、『半沢直樹』なのに半沢直樹が主演じゃないからファンに怒られるんじゃないかな、みたいな不安もあります(笑)。でも、多分良しとしない人も多いというのは分かってはいるので、それをどう見返すかみたいな気持ちにもなってきます。どう“倍返し”していくかっていう。だから燃える部分もありますし、そういう方たちにもちゃんとした作品を見せて、続編に繋げたいです。

ーー『半沢直樹』は平成を代表するドラマですが、吉沢さん自身はどんなイメージを持っていましたか?

吉沢:『半沢直樹』って聞いたら7年前の作品でもみんなピンとくるし、これだけ世間に影響力のある作品ってなかなか生まれるものではないので、すごく完成された世界観がある作品だと思います。それを壊さずに、けれど、ただ守りではなくちゃんと自分のやるべきことを役を通してやっていきたいなと思いました。

ーー本作では、プログラマーの役を演じますね。実際に『半沢直樹』の世界観に入ってみていかがでしょう?

吉沢:プログラマーの役を『半沢直樹』の世界観に落とし込むのが結構難しいです。プログラマーの先生が現場にいるんですけど、姿勢や話す時のテンションに特徴がある人が多いと聞きました。自分の得意分野の話題になると早口で喋り出すとか、人の目を見ないで話すとか、けれど、そういう部分をリアルにやりすぎると『半沢直樹』の世界観とは違うなと思って。実際には私服通勤が多いようですが、セットアップの服を着たり、衣装で色々寄せられる部分は寄せつつ、その中でもリアルな要素も考えながらやっています。

ーーあと『半沢直樹』といえば、アップで捉えたど迫力の表情ですよね。

吉沢:そういうシーンはものすごいガっとやりたいなと思っていました。けど、役との塩梅で、監督と相談しながらやれる部分はやっています。見てのお楽しみです。

ーー半沢の「やられたらやり返す」という価値観はどう思いますか?

吉沢:やられたらやり返したいという思いは誰しもが持っていて、その中でやり返しちゃいけないっていうのが世の中の正義な気がするんです。だけど、そうじゃないということを打ち出した『半沢直樹』はすごいなって。「やり返す」が正当化された瞬間というか。

ーー吉沢さん自身はやり返しますか? 何か今、企んでいることとかあれば教えてください。

吉沢:何をやられるかにもよりますけど、やり返すんじゃないですか?(笑)。大河が決まった時に、友達の山田裕貴くんから「おめでとう」って焼酎の一升瓶をもらってお祝いしてくれて、すごい嬉しかったので、何かのタイミングで倍返ししなきゃなって思ってます。

関連記事