石橋蓮司、18年ぶり主演映画『一度も撃ってません』公開決定 阪本順治×丸山昇一が再タッグ

 石橋蓮司が18年ぶりに主演を務める映画『一度も撃ってません』が、2020年4月に公開されることが決定した。

 『どついたるねん』『半世界』の阪本順治監督最新作となる本作は、昼間は妻にタジタジ、ハードボイルド気取りばかりで頼りない小説家、しかもここ数年原稿は採用されず発行してもらえないままだが、夜になると、チマタで噂の伝説の殺し屋なのではと囁かれる、御年74歳の主人公の物語。昼と夜の顔を持ち合わせるそんなキャラ濃いめの市川進/御前零児(ペンネーム)役で石橋が主演を務め、ドラマ『探偵物語』シリーズ(日本テレビ系)などの丸山昇一が脚本を担当。丸山と阪本監督とのタッグは、『行きずりの街』(2010年)以来、9年ぶりとなる。

 さらに、大楠道代、岸部一徳、桃井かおりの出演も決定。大楠は、主人公の市川の妻役として、夫の夜の顔を知らずまっすぐに生きてきたしっかり者の妻・弥生を演じる。また、阪本組には数多くの出演をしている岸部が、市川の学生時代からの旧友・石田和行として共演。セキュリティ会社の裏仕事として市川に殺しを依頼しているが、ついに自身の命を狙われる危機に見舞われる。そして桃井が、市川、石田の旧友であり、かつてはミュージカル主演女優として活躍をしていた玉淀ひかる役を演じる。市川の妻・弥生に浮気相手と疑われてしまうが、頼りない男たちの中で気丈に振る舞い、女優としての色気と力強さを兼ねた女性を演じている。

コメント

石橋蓮司

この作品は、撮影スケジュールをとにかくこなす、という事だけでなく、昔僕たちが若い時代に作っていた映画のように、アイデアを出し合ってやれた現場でした。夢を諦めながらも必死にしがみついていく我々世代の大人達の話です。
言ってみれば、“昭和の時代の挽歌”というのでしょうか。
ハードボイルドな作品ではあるのですが、あまりシリアス過ぎると共感を呼ばないので、「あくまで、これは喜劇なのだ」という阪本監督の姿勢には賛成でした。真面目にやればやるほど、ある意味喜劇になるかもしれない、はたまたリアリティとして受けとる人もいるでしょう。共感してくれる人がいてくれたら嬉しいですね。
ハードボイルド映画ですから、撮影中、もっとかっこよく歩きたいな、なんて思うんですが、年なんですね、まっすぐ歩こうとするけど余計によれちゃったりして。笑
映画の基礎を作ってきた70年代の厳しく激しい昭和の映画作りの現場や、80~90年代も経験してきましたが、逆に一番のロマンを作ってきた時代だったな、と感じています。この映画は、お利口さんに生きる事ができず不器用で、でも心情的には熱いものがあって、時代に合わせて生きていく事ができない人間たちの物語です。それが昭和の人間の良さであり、”悪さ”とも思う。
そんな作品になってくれればと思っています。 是非面白がって見て頂けたらと思います。

阪本順治監督

これは、たとえ、ひとところにいようとも、流れ者たちのものがたり。排気ガスや煤煙や紫煙を肺いっぱいにすい込んできた世代が、せっせと音楽に、映画に、演劇に、涯は政治にからだを預け、そのなかで栄養を摂り、生きてきた。それがいま、「なんですか、この慈悲心のない、みせかけだけの時代は」と、不愉快きわまりない。が、それをぐっとのみこんで、「まあ、遊ぼじゃないか」と集まったものどうし、戯れ、じぶんたちのすきな世界をいつまでも求めて、ひとびとから距離を置き、いや、距離を置かれ、忘れ去られるのは、それはそれでさみしいなと、嘆いたりもするが、それよりずっと大切なじかんがあると、朝から晩までうろたえることをやめない、この作品は、そんな輩たちの、哀愁ただよう活劇&ど喜劇で……あ、そういえば、どこかの小説家が、どこかにこんな言葉を残していたらしい。「なにか言いたいやつは、みんなどこかおかしい」。

どうか、日頃の鬱憤をありったけ持ち込んで、私たちの、架空に遊ぶ無邪気なさまを観ていただければ、きっと心は晴れやかに!

■公開情報
『一度も撃ってません』
2020年4月、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
出演:石橋蓮司、大楠道代、岸部一徳、桃井かおりほか
監督:阪本順治
脚本:丸山昇一
製作:木下グループ
配給:キノフィルムズ
(c)2019「一度も撃ってません」フィルムパートナーズ

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