フィリップ・ラショー監督が語る、『シティーハンター』への愛と、日本のアニメ・漫画から受けた影響

「日本のアニメや映画の奔放な想像力にいつも驚いている」

(左から)香役のエロディ・フォンタン、リョウ役のフィリップ・ラショー

ーー『シティーハンター』はフランスでは大ヒットしていますが、どういうところが評価されたと考えますか?

ラショー:まずは「期待を裏切られなかった」と思ってくれた『シティーハンター』ファンが多かったと思う。ただ、『シティーハンター』を知らずに「フィリップ・ラショーの新作」として見に来てくれた人も多くて、それは嬉しかったね。僕の前作『真夜中のパリでヒャッハー!』は、観客層がすごく若かった。フランスでは今TVで『シティーハンター』の再放送が始まっていて、若い世代がこのシリーズの面白さを発見している最中なんだ。あと、この『シティーハンター』は、もちろんアクションもあるし笑いどころも満載なんだけど、実はフランスでは「アクション・コメディ」というジャンルがなくて、それも新味に感じてくれたのかもしれないね。

ーー監督は、小さい頃から日本の漫画やアニメを見て育ったと聞きましたが、その魅力はなんだと考えますか?

ラショー:すごく奇想天外なところ! クリエイティビティの幅の広さを感じるんだ。このアイデアはどこからくるんだろう? という奔放な想像力にいつも驚いているよ。映画監督としても、日本のアニメや漫画の影響を受けていると思う。

ーーフランスの同世代の映画人も、日本のアニメや漫画に影響を受けている人は多いのでしょうか?

ラショー:そうだね。同業者でも、日本の漫画の実写化をやりたいと思っている人はたくさんいると思う。アレクサンドル・アジャ監督もその一人だよ。彼は、寺沢武一先生の漫画『コブラ』の実写化を手がけるというニュースがあったけれど、権利や資金調達などの難しさもあって、頓挫しているみたいだ。僕は、前作が多くの人に受け入れられたおかげで「次は何をやりたい?」と言われ、『シティーハンター』の名前をあげたんだ。プロットを北条先生に送ったら気に入ってもらえて、直接会いに行ったところ実写化の許可をもらって作らせてもらうことができた。それはとても幸運なことだと思うよ。バンド・デシネ(フランス語圏におけるコミックの呼称)を映画化することはあっても日本の漫画はなかったから、僕はフランスで日本の漫画・アニメを実写化した第一人者といえるかもしれない。

(取材・文=若田悠希)

※冴羽リョウの「リョウ」はけものへんに「寮」

■公開情報
『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中
監督:フィリップ・ラショー
出演:フィリップ・ラショー、エロディ・フォンタン
吹替版(声の出演):山寺宏一、沢城みゆき、玄田哲章、田中秀幸、一龍斎春水、浪川大輔、多田野曜平、土師孝也、恒松あゆみ、三上哲、伊倉一恵、神谷明
配給:アルバトロス・フィルム
原題:NICKY LARSON et le parfum de Cupidon
(c)AXEL FILMS PRODUCTION – BAF PROD – M6 FILMS
公式サイト:cityhunter-themovie.com

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