『チャイルド・プレイ』は現代のホラー映画として見事な出来! 作り手がクリアしたリブートの課題

 しかし、本作はこうした一歩間違えば説教過多になりそうな恐怖を、エンターテインメントとして成立させている。本作のメインプロットは『アタック・ザ・ブロック』(2011年)、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016年~)、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)といった作品を彷彿させる、少年少女らのアドベンチャーだ。残虐な殺戮シーンの直後に、ブラックなユーモアで笑わせてくれる。緊張と笑いのバランスも心地よく、母と子のドラマがクライマックスを盛り上げる。

 ただし、あくまで本作は泣かせ方向には行かず、人が悲惨に死ぬスラッシャーホラーであり続ける。チャッキーをもっとフランケンシュタインの怪物的な存在として悲劇的に描くこともできただろうし、少年少女らの絆に尺を割いて、もっとジュブナイル色を強くすることもできたはずだ。それをしていないのは、後々の「伸びしろ」としてあえて踏み込まなかったのだと思う。チャッキーというキャラクターを一新して、さらに「次」への期待も高める(たぶんどこかのタイミングでかわいいチャッキーやチャッキーの嫁も出るだろう)。『チャイルド・プレイ』のリブートとして、現代のホラー映画として、なすべきことをなした見事な1本だ。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■公開情報
『チャイルド・プレイ』
全国公開中
監督:ラース・クレヴバーグ
製作:セス・グラハム・スミス、デヴィット・カッツェンバーグ
脚本:タイラー・バートン・スミス
出演:オーブリー・プラザ、ガブリエル・ベイトマン、ブライアン・タイリー・ヘンリー
配給:東和ピクチャーズ
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