『なつぞら』清原翔×北乃きいが初めて結ばれたカップルに 一方、あまりに切ない天陽の涙

 2人が初めて出会ったのは、なつを助けてもらったお礼にと照男が富士子(松嶋菜々子)と共に阿川家を訪ねた時だ。「白蛇の化身のモデルになった綺麗な人」となつは事前に柴田家の家族に話しており、十勝という大自然でそこまで女性との接点がないと思われる照男は、きっと高鳴る鼓動を感じていたはずだ。そこから照男は、頼まれてもいない牛乳を砂良に届けたり、彼女が鍋に牛乳を入れていたのを柴田家で真似をしたりと、とにかく好きという感情を抑えきれない様子。明美(平尾菜々花)が木彫りの熊を見てつぶやく「熊がラブレターくわえてる」に過剰に反応したり、砂良がなつに向けて言った「いつでも待ってるからね」という言葉に勘違いをして即答で「はい」と答えたり。泰樹(草刈正雄)の無理矢理に結婚をさせようとする企みを経て、照男が砂良に一途であることをなつが度々イジっていたことも、これからも柴田家の関係は変わらないことを示すシーンであった。

 そんな照男の砂良へのプロポーズは、菊介(音尾琢真)と天陽(吉沢亮)を巻き込んだまさかのコント仕立て。木彫りの熊を伏線に、照男が“ラブレター熊”として阿川家に上がり、サケを差し出しサプライズプロポーズするというものだ。「食べることだけは一生困らせない。美味しい人生を約束します。どうか俺と一緒に来てください」という照男のプロポーズ、銃を構える父・弥一郎(中原丈雄)に「撃つ時は自分で撃つから。嫁入り道具にはそれをちょうだい」と声をかける砂良。酪農家の息子として、猟師であり芸術家の娘として、それぞれの立場が見えるセリフであり、砂良の満面の笑みは秘めていた照男への気持ちが伝わって来るようだ。


 第11週「なつよ、アニメーターは君だ」の予告では、柴田家に砂良が加わり一家団欒としている場面、さらには新婚旅行で新宿・風車に訪れる照男と砂良のシーンがある。ここで気づくのは、『なつぞら』において恋愛が実るのは、意外にもこの2人が初めてということだ。天陽はなつが上京する際、互いの家族が見守る中、真っ直ぐに気持ちを伝えるも、その思いを閉ざそうとしている。キャンバスに描いたなつの絵を自らの手で新しい色で上描きし、涙を流すシーンはあまりにも切ない。

 ほかにも、夕見子(福地桃子)を思う雪次郎(山田裕貴)は、一人息子として雪月の後を継ぐことと、なつの兄・咲太郎(岡田将生)が生きる演劇の道とで葛藤しているようにも見える。そんな咲太郎を巡る恋路には、川村屋のウエイトレス・佐知子(水谷果穂)、煙カスミ(戸田恵子)の付き人・レミ子(藤本沙紀)、さらには川村屋のマダムこと光子(比嘉愛未)が参加と、最も矢印が交錯している状態に。照男と砂良の次を飾るカップルは生まれるのか、まだまだ続く『なつぞら』の物語に期待だ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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