SixTONES 松村北斗、松坂桃李と対の存在に 『パーフェクトワールド』で見せた深みある演技
明るく快活な性格で、ムードメーカーとして描かれていた晴人だが、第4話で、どれほど自分が苦労してきたかを吐露する。晴人が想いを寄せているしおり(岡崎紗絵)との恋愛に苦戦していることも、苦しみに加担しただろう。しおりが「障害者とは付き合えない」と晴人を突き放すシーンでは、悲しみをこらえ、その言葉を受け入れるかのような表情を浮かべ涙を誘った。
晴人のキャラクターは、明るさと、心の奥に眠った悲しみをどちらも表現しなければいけないシーンがある。さらに激昂する時もあり、表現の振れ幅が大きい。松村はこういった感情的なシーンを一つ一つ丁寧に演じ、決して怒りや悲しみだけの単調な芝居にはしなかった。そこには“晴人”が積み上げてきた経験が透けて見えるような深みがあるのだ。晴人の芝居が際立つシーンをこなすごとに、しっかりと次に繋げてきた松村の手腕もあり、晴人というキャタクターは明るさ、悲しみ、もどかしさなどの複雑な感情も視聴者に伝えてくれた。本作が描く“障害”ということを樹とは違ったアプローチで表現しているのだ。樹が車いすで生活していることに対して、晴人は義足で生活している。さらに晴人は義足が他の人にバレたくないという思いがあることがわかるシーンも散見された。こうした違いも2人の演じる役を引き立てており、障害といってもそれぞれのポリシーがあることを感じさせている。
この作品を観ていると「いつかこのドラマがただのありふれたラブストーリーになりますように」という言葉のように、いつかは車いすということや、障害があるということが特別視されない世界がくればいいと感じる。その世界に向けての1歩は、この作品が放送されることにあるのではないだろうか。樹はもちろん、晴人の気持ちにも注目することで、樹だけでは見えてこなかった部分が浮き彫りになるだろう。2人のキャラクターのコントラストに注目しながら、同作品を楽しんでもらえればと思う。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
『パーフェクトワールド』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~放送
出演:松坂桃李、山本美月、瀬戸康史、中村ゆり、松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.)、岡崎紗絵、池岡亮介、木村祐一、水沢エレナ、堀内敬子、とよた真帆、麻生祐未、松重豊
原作:有賀リエ『パーフェクトワールド』(講談社『Kiss』連載)
脚本:中谷まゆみ
音楽:菅野祐悟
主題歌:菅田将暉「まちがいさがし」<作詞・作曲・プロデュース:米津玄師(EPICレコードジャパン)>
プロデューサー:河西秀幸
演出:三宅喜重 白木啓一郎
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
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