上位7%のハイスペック男子でも結婚できない!? 『東京独身男子』は視聴者の共感を得られるのか

 そろそろ出そろった4月クールの連続ドラマ。医療ものや捜査もの、チームや職場を描く作品が多い中で異彩を放っているのが『東京独身男子』(テレビ朝日系)だ。高橋一生、斎藤工、滝藤賢一の3人が演じるアラフォー男性が、遅まきながら結婚を目指すことになり、ハイスペックゆえにすぐに結婚できるかと思いきや、意外にも悪戦苦闘するというコミカルな人間ドラマ。3人の俳優に女性ファンが多いこともあり、スタート前から注目度は高かった。

 高橋が演じる太郎はメガバンクのリサーチャー。銀行の格付けになぞらえ、自分と審美歯科医の三好(斎藤)、弁護士の岩倉(滝藤)を“Aクラス”と認定する。3人は同じマンションで優雅な独身生活を送っているが、太郎は元カノの舞衣(高橋メアリージュン)と数年ぶりに再会し、結婚という選択肢が頭に浮かぶ。三好は金遣いの荒い妻と別れ、「独身最高!」と喜びながら美女の透子(桜井ユキ)にアプローチするが、いざというときEDの兆候が出てショックを受ける。一方、岩倉は独身主義だったのに、父親を自宅で介護することが決まってから長年の彼女にプロポーズし、「私は介護要員じゃない」と振られてしまう。

 そこに三好の妹であるかずな(仲里依紗)も加わり、80~90年代のトレンディドラマのような男性3人×女性3人の恋模様が展開していく。懐かしいと言えば懐かしい、ちょっと古くさいと言えばそんなノリ。ただ、脚本の金子ありさは『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(2016年/TBS系)でハイスペック独身女性(中谷美紀)の恋愛観を変えるというセンシティブなテーマをうまく調理していただけに、本作でもその抜群のバランス感覚を発揮しそうだ。第1話で、太郎たちが恋愛の傾向をアジェンダ化し「女はその本質をSNSのアイコンに隠している」とPCに打ち込む場面には思わず笑ってしまったし、自分のアイコンを確認した。女性から見ると、自分たちが女性を選ぶ側だと思っている太郎たちには、かずなが言うとおり「腹が立つ」が、だからこそ馬鹿にできるし、かずなたち女性キャラクターが彼らの思い上がりをばっさり否定してくれるので、爽快感もある。

 これまでも独身主義の男を描いたドラマは何度か作られてきた。そのルーツは30年前に放送された田村正和主演の『パパはニュースキャスター』(1987年/TBS系)あたりか。売れっ子の二枚目キャスターである鏡竜太郎(田村)が独身主義者なのに突然、昔の交際相手たちから3人の娘を押し付けられるというシチュエーションがコメディとして秀逸だった。阿部寛主演の『結婚できない男』(2006年/フジテレビ系)は、主人公の建築士・桑野信介(阿部)がかなり偏屈な頑固者。40歳で「結婚できないのではなく結婚しないんだ」と言い張る変人ぶりが、阿部寛の魅力を活かしていた。また、草なぎ剛主演の『独身貴族』(2013年/フジテレビ系)はタイトルどおり、独身生活を謳歌していた映画プロデューサーの星野守(草なぎ)が意に反して結婚させられそうになる話。さらに、“新しい地図”つながりで見ると、香取慎吾が『家族ノカタチ』(2016年/TBS系)で演じた39歳の永里大介も、結婚を考えない男だった。

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