『3年A組』萩原利久、個性派キャラを脇で支える演技の柔軟さ 2019年の要注目若手俳優へ

 大注目の若手俳優陣の個性と演技が光る『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系、以下『3年A組』)で、とりたてて目立つキャラクターを演じているわけではないものの、私たち視聴者に、確実にその印象を残している者がいる。菅田将暉扮する高校教師・柊一颯の内通者であった生徒、逢沢博己を演じる萩原利久だ。

 朝ドラ『 半分、青い。』(2018・NHK)の永野芽郁や、GENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカリストとしても熱い支持を集める片寄涼太。彼らはすでに、演者自身のキャラクターが立っている者たちだ。それに対して、『ソロモンの偽証』(2015)以来、話題作での好演を続け、今作では恋する乙女の顔を見せる富田望生や、舞台で培った技を武器に、『中学聖日記』(2018・TBS)に続いてお調子者に扮する若林時英ら。彼らは、演じ手本人はもとより、演じるキャラクターの個性が際立っている者たちだ。さて、萩原はどうかというと、このどちらにも属していないように思える。とはいえ彼はこれまでに、いくつもの出演作に恵まれてきた。

『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(c)日本テレビ

 主演を務めた『イノセント15』(2016)と『ウィッチ・フウィッチ』(2018)は、小品ながらも各方面で反響を呼び、また同じ事務所の兄貴分的存在である菅田とは、『3年A組』以前に『帝一の國』(2017)と『あゝ、荒野 』(2017)でも顔を合わせている。ここ最近では、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018)で南沙良と蒔田彩珠という、自身よりも年少の主演女優を脇で支え、思春期の不安や葛藤を細やかに表現。続く『高崎グラフィティ。』(2018)では、高校卒業から社会に出ていくまでの過程の、いわば宙ぶらりんな状態にある若者たちの青春に身を投じ、その群像劇の一端を瑞々しく担った。

『高崎グラフィティ。』(c)2018 オフィスクレッシェンド

 さらに今年に入ってからは、『十二人の死にたい子どもたち』で吃音症に悩む男子高生に扮し、杉咲花や橋本環奈、新田真剣佑に高杉真宙といった、すでに名のある若手たちと演技合戦を繰り広げている。そして戦時下が舞台の『あの日のオルガン』では、傷痍軍人となった若者を演じ、佐久間由衣扮する保育士との淡い恋模様を展開させるなか、徐々に表情の陰りが晴れていく好演をみせた。これらを並べれば判然とするように、萩原は大作から小品まで自在にフィットしてみせている。しかも、どのキャラクターも個性が際立ったものばかりで、それぞれ毛色も違う。ここに感じられるのは、彼の高い柔軟性だ。

(c)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会

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