『トレース~科捜研の男~』船越英一郎を懐柔できるのは小雪だけ? 唯一無二のポジションを確立

 クールビューティーすぎるが故に、『池袋ウエストゲートパーク』での役柄のように、どうしてもどこか訳ありであったり、ミステリアスな役にキャスティングされることが多い小雪。しかし、彼女自身が年を重ねるにつれ、『僕と彼女と彼女の生きる道』(2004年・関西テレビ)では、シングルファザーの娘の家庭教師として、母親代わり的な役割を演じていたり、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズでも、知人の子どもの面倒を見る役柄など役の幅を広げている。

 30代に入ると、映画『探偵はBARにいる』(2011年)では、密かに復讐を狙うクラブのママ役や、『リーガルハイ』2期(2013年・フジテレビ系)では、交際相手を殺害した美しすぎる死刑囚など、役柄はさらに拡大。目的のために女性の武器を使うも、本音の感情は最後まで抑え、何を考えているか分からない妖艶さと怖さを巧みに演じ、人間らしい悲哀を表現していく。

船越英一郎/『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)

 そして現在放送中の『トレース~科捜研の男~』では、クールながらも心が広く、若手の行動に理解のあるチームリーダーで、捜査員たちから一目置かれている美人法医科長・海塚律子を演じている。真野のライバルであり、頭の堅いベテラン刑事・虎丸(船越英一郎)をクールに受け流し懐柔する役割は、小雪だからこそ説得力がある。

 原作となる『トレース~科捜研法医研究員の追想~』(古賀慶)では、小雪の役は男性で癒し系ポジションだっただけに、当初小雪が演じることでどうなるかと心配された。しかし、真野をクールにフォローし、時には母親のように優しく見守る役は、原作とは違う解釈で楽しめ、今までのキャリアの中で培ってきたハマり役となっている。なお、新人法医研究員役の新木優子は、現役の『non-no』専属モデルであり女優としても活躍……という、まるで小雪を“トレース”するようなキャリアを歩んでおり、その成長を見守る役という関係性も実に面白い。

 小雪という役者は、役に染まるというより、本人に合った役柄がオファーされ、それに見事に応える役者だ。他とは一線を画すその魅力は、年齢を重ねると共に母親役、上司役など役の幅を広げ、今では唯一無二の存在感のある役者になったと『トレース~科捜研の男~』を観て、改めて感じさせる。

(文=本 手)

■放送情報
『トレース~科捜研の男~』
2019年1月7日(月)スタート 毎週月曜21:00〜21:54放送
出演:錦戸亮、新木優子、山崎樹範、岡崎紗絵、矢本悠馬、山谷花純、加藤虎ノ介、小雪、遠山俊也、篠井英介、船越英一郎
原作:古賀慶『トレース~科捜研法医研究員の追想~』(ノース・スターズ・ピクチャーズ『月刊コミックゼノン』連載)
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵
脚本:相沢友子
演出:松山博昭、相沢秀幸、三橋利行
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/trace_drama/

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