黒木華、なぜ監督たちから再起用される? 2018年出演作から考えるラブコールが絶えない理由

 2018年下半期、もっとも強い輝きを放った女優といえば、黒木華ではないだろうか。劇場アニメ『未来のミライ』にはじまり、主役やヒロインを務めた作品が怒涛の勢いで公開されてきた。待望の中島哲也監督最新作『来る』が封切られ、話題のドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)が惜しまれつつ終了したばかりのこのタイミングで、彼女の活躍を振り返りたい。

 声優を務めた『未来のミライ』だが、監督である細田守作品への参加は、『おおかみこどもの雨と雪』(2012)、『バケモノの子』(2015)に続きこれで3度目だ。舞台出身者である黒木とあって、自在な表現力の高さはもちろんのこと、穏やかで透明感のある彼女の声の魅力は今作でも十分に発揮されていた。ところで、立て続けに細田作品に起用されている黒木だが、ほかの監督たちの多くも、これまで黒木を再起用してきた。

(c)2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会

 
 『小さいおうち』(2014)、『母と暮せば』(2015)では山田洋次監督が、『ソロモンの偽証』(2015)、『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017)では成島出監督が黒木を二度に渡ってキャスティング。さらに、劇場アニメ『花とアリス殺人事件』(2015)、『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016)では岩井俊二監督が、『繕い裁つ人』(2015)、今年公開の『ビブリア古書堂の事件手帖』では三島有紀子監督が、また同じように黒木をキャスティングしているのだ。

『獣になれない私たち』(c)日本テレビ

 ドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)では、強烈なニート姿、そしてそこから一歩を踏み出そうとする姿を多くの反感と共感を得ながら演じ、地上波作品でもその存在感の大きさを示した黒木だが、このところドラマへの出演は年に一本ペース。映画への出演の方が多いこともあってか、やはり“映画女優”としての印象が強い。なぜ、彼女は立て続けに映画に起用されるのか。ラブコールが絶えないその理由は、今年の公開作を並べてみれば見えてくるかもしれない。

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