『まんぷく』と『わろてんか』、共通するのは“ダメ夫”? 朝ドラヒロインの夫との向き合い方

 『わろてんか』(NHK総合)では、ヒロイン・てん(葵わかな)の夫・藤吉(松坂桃李)の振る舞いにはしばしば辟易してしまうことがあった。自分の夢のためには周りが一切見えなくなってしまったり、酒を飲みすぎて家族に迷惑をかけたり、息子の世話を人任せにしがちなところがあったり……。藤吉には藤吉なりの良さもあり、頭ごなしに悪く言うことはできないが、しばしば彼の突拍子もない行動には驚かされたものだ。

 さて、現在放送中の連続テレビ小説『まんぷく』(NHK総合)では、福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己)の夫婦仲に隙間風が吹き始めた。栄養食品・ダネイホンの研究に没頭するあまり、育児は福子に押し付けがちな萬平。息子の源が風邪を引いても、医者が大丈夫だと言っているのなら何ら問題ないとして、福子の言うことに聞く耳を持とうとしない。

「もういい! 仕事に集中したいんだ! 子育てはお前に任せる」

 異なる点が多い2人であり、単純に藤吉と萬平を並べることはできない。ただ、両作品において、描かれ方は違うものの、周りの人への気配りをなおざりにする夫の姿は共通していると言えるだろう。萬平は栄養不足で苦しむ人々を助けたいという崇高な意志を持っている。だからこそ、福子としても反論がしづらい。世のため、人のために汗を流しているだけに、あからさまに萬平の働きを否定することもできないのだ。実際、福子自身も栄養不足で苦しむ人たちを目の当たりにしたことがある。それに加えて、不満を持っているのは福子だけではない。ダネイホンの研究には加わらず、引き続き塩作りに精を出している従業員たちからも不満がくすぶる。 “塩軍団”のことを忘れているのではないかと思い始めているのだ。

 ところで、『わろてんか』では、てんの藤吉への怒りが沸点に達する場面もあった。その結果、しばらくの間、てんは藤吉と口をきかなくなり、夫婦の関係は冷え込んでしまった。息子の隼也を見失ってしまったり、芸人たちへの給金を勝手に持ち出したりする藤吉を見て、いよいよ我慢ならなくなったのだ。

関連記事