『SUITS/スーツ』インタビュー

小手伸也が語る、“3度目の月9”にかける意気込み 「革命的な変化を感じています」

「織田さんは非常に真摯に向き合ってくださる」


ーー3度目の月9ということで、心持ちに違いはありましたか?(『HERO』(2001年1月クール)にも出演)

小手:同じ月9枠でシンデレラ気分はもはや通用しないぞという危機感はありましたね(笑)。五十嵐は“謎の男”というところを際立たせるために、キャラクターのバックグラウンドなどの役作りは一切考えずに臨みました。けれども蟹江に関しては、その逆。しかも原作のキャラクターを踏襲するという大前提があるので、何倍も大変ですけど、やりがいがありますね。

ーー実際に、蟹江役を演じてみていかがですか?

小手:原作の蟹江役にあたるルイス役を演じているリック・ホフマンさんが偉大な方なので、どうしても僕の前に壁としてそびえ立っている。それを超えるためには……と考えたら途方に暮れましたが、彼のモノマネをするのではなくて、肉体的な反射とか、立ち方とか、クセを盗んで体に馴染ませることで、ルイスに見えるというところを目指しました。プロデューサーから、キャスティングの決め手は「顔が似てるから」とも言われていたので、ビジュアルが強みではあるけど、なおさらモノマネはできないなと。

ーー難しいところですね。

小手:「おもしろい反面、気持ち悪い」、「嫌な奴だけど、愛嬌がある」と相反した要素を持ち合わせたキャラクターなので、あらゆる面で慎重にやっています。あとは、アメリカンな身振りをしてほしいというオーダーではあるけど、僕だけがアメリカンな芝居をしていても違和感が生じてしまうし、どこまでやるべきかとバランスは常に考えていますね。最近は、蟹江がアメリカンな振る舞いをする理由をちゃんと表現したいと思っているんです。原作がアメリカだからということではなくて、日本人がアメリカ人っぽくする理由があるとしたら、何だろう? と考えて。

ーーその理由とは?

小手:蟹江はコンプレックスの塊みたいな人間なので、「ハーバード出身を笠に着たアメリカンな鎧を纏うことによって自分の強さ、スケール感を誇示したいんだ」という解釈が僕の中で生まれました。当初はあの大仰さを攻撃手段と捉えていたんですが、実はむしろ防御に近かった。これは撮影が進むにつれて、特に織田さんの芝居を受けながら生まれた考えです。今は、そんなところが視聴者に伝わるといいなと思いながら演じています。

ーー織田さんとお芝居をされてみて、印象はいかがですか?

小手:非常に真摯に向き合ってくださっているので、ありがたいです。織田さんにとっては、僕なんてどこの馬の骨かもわからない人間。でも「馬の骨にしては、噛みごたえがある」くらいには思ってくれているみたいで、僕とのセリフ合わせがないと「今日は絡みないのか、つまんないなぁ」とか言ってくださるんです。芝居後に、僕と自由演技を続けたりすることを楽しんでくださっているようで、一役者としても、一ファンとしても嬉しいです。

ーー中島裕翔さんとは、素敵な焼肉屋さんに行かれたそうですね。どんなお話をされたのですか?

小手:そうですねぇ……これは言えないなぁ(笑)。でも、すごくオープンマインドな話をしてくれました。いろんな人がアドバイスをくれる中で、自分らしさってなんだろうと思い至るようになったみたいで、「自分らしさの塊みたいな芝居をしている、小手さんはすごい」と(笑)。主演は受けの芝居が多いので、ディフェンスの技術は身に付くけど、オフェンスの手札の数、相手に投げる球種を培う機会を持てないんですよね。でも、中島くんにはバイプレーヤーとしても一目置かれる俳優でありたいという思いがあるので、「自分には何が足りないのか」といったところを、僕ごときがですがアドバイスさせていただきました。

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