『まんぷく』は“終戦後”をどう描いた? 加治谷(片岡愛之助)の再登場が意味するもの

「諦めないでどうか生き抜いてください。あなたの人生の主役はあなたなんですから」

 これは今週の『まんぷく』を象徴するようなフレーズである。“戦後”という新しい時代が始まろうとしている今、みんなそれぞれの形で前を向き始めている。ハンコを作って世の中の役に立とうとする人々。再び絵を描くことで、自分の在り方を確立しようとする人。亡き妻の形見に触れて再び希望を確認する人。終戦後、寄る辺を失ったものの、家庭教師や雑用をしてとりあえずは食事と寝るところにありついた人。みんなそれぞれのリスタートを切り始めたのだ。

 “あなたの人生の主役はあなた”。『まんぷく』では、あの加治谷も含めたすべての人が“主役”として、生き生きと歩み始めることができることを示してくれたように思える。福子と萬平だけではなく、彼女の周りの多くの人々の立ち直り方にやさしく光を当ててきた。人それぞれのストーリーをないがしろにしないのは今週だけではない。『まんぷく』は今までもそうだったし、これからもきっと人々のささやかな物語も丁寧に掬い取っていくことだろう。

(文=國重駿平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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