相葉雅紀の“優しさ”が物語の魅力に 『僕とシッポと神楽坂』は1週間の疲れを癒やしてくれる

 自然体な演技が魅力的な相葉だが、獣医師として動物の命に向き合うシーンでは、メリハリのある演技を見せる。車に轢かれてしまった犬の手術シーンで、達也のサポートに入った加瀬トキワ(広末涼子)は、彼の丁寧で繊細なメスさばきに驚く。手術に向かう達也の目元は、普通の青年である達也のような穏やかな目をしていなかった。動物の命を救うために、一瞬たりとも気が抜けない状況を物語るかのような厳しい目だ。この目元だけで、達也が腕の立つ獣医師だということが容易に理解できる。

 今作は“癒し系ヒューマンドラマ”と銘打っているものの、決して軽く扱うことのできないテーマを背負っている。「人と動物との関わり」を描く以上避けては通れない「命」という題材だ。ただの癒し系ドラマとして演出してしまっては、重みのあるテーマとのバランスが悪くなるだろう。しかし相葉の演技にはメリハリが感じられ、ただの癒し系ドラマにはとどまらなかった。普通の優しい青年である達也の姿を自然体で演じつつ、動物の命に向き合う真剣な達也の姿をしっかりと演じ分けているからこそ、“癒し系ヒューマンドラマ”でありながら、動物との関わり方を考えさせられるドラマにもなっている。

 第1話では登場人物や設定紹介が主軸となったため、動物との関わり方を考えさせられるシーンは少なかった。だが、今後物語が進むにつれて、重たいテーマを抱えた動物たちが登場することになるだろう。

 相葉の演技に期待が高まる。彼が見せる優しさと厳しさは、視聴者の心も癒すことになるだろう。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
金曜ナイトドラマ『僕とシッポと神楽坂』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15〜0:15(一部地域で放送時間が異なる)
出演:相葉雅紀、広末涼子、趣里、小瀧望(ジャニーズWEST)、大倉孝二、村上淳、矢柴俊博、矢村央希、 かとうかず子、イッセー尾形
原作:たらさわみち『僕とシッポと神楽坂』(officeYOU 集英社クリエイティブ)
脚本:谷口純一郎、国井桂
監督:深川栄洋
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:都築歩(テレビ朝日)、松野千鶴子(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/shippo/

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