樹木希林さん死去に黒木華、松岡茉優らが追悼コメント 是枝裕和監督「神々しくさえありました」
数々の映画やドラマなどで人間味あふれる役を演じてきた女優・樹木希林さんが、9月15日に亡くなった。75歳だった。2005年に乳がんの手術を受け、2013年の日本アカデミー賞最優秀主演女優賞のスピーチでは全身がんであることを公表していたが、今年のカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルドールを受賞した『万引き家族』での演技も記憶に新しく、10月13日公開の映画『日日是好日』にも出演するなど精力的に活動し続けていた。
『日日是好日』の大森立嗣監督は、「撮影しながら希林さんのことが大好きになっていきました。大事なことをひょうひょうと語る姿が目に浮かびます。出会えたことは僕の財産です」と追悼の意を示した。同作で、樹木さん演じる茶道教室の先生に教わる生徒という役で樹木さんと初共演した黒木華は「希林さんとお仕事をご一緒できたことはとても光栄でしたし、かけがえのない時間でした。もっと、もっと、お話ししたかったです」とコメントし、同じく共演者である多部未華子も「寒い撮影の中、樹木さんの控室にお邪魔して、2人で膝掛けを分け合いながらお話ししたこと、忘れません」と撮影の思い出を振り返った。
『万引き家族』『海よりもまだ深く』『歩いても、歩いても』『海街diary』と、多くの作品で樹木さんを起用してきた是枝裕和監督は、今年3月にがんが骨に転移していることを知らされていたという。「ご一緒した映画祭や公開初日の舞台あいさつでは、ご自身の中に残ったエネルギーと冷静に向き合い、コントロールされながら、それでも役者の仕事を全うされようとしているその姿勢に頭が下がりました。身体が弱ってからもどこかその、初めての体験を面白がっているようなところがあり、凄みと軽やかさの同居した姿は、神々しくさえありました。最期の瞬間まで、本当に見事な、いかにも希林さんらしい人生の締めくくり方をされたと思います」と樹木さんへの敬意を自身の述べた。
また、『万引き家族』で樹木さんの孫役を演じた松岡茉優は「樹木さんが教えてくれたこと、残してくれたものを最大限に生かしたい。同じ時代に生まれたことを、大きな意味で捉えていきたいです。暖かくて風通しがよくて、過ごしやすいところでお休みになられていますように。大好きです」と追悼し、『海よりもまだ深く』『歩いても、歩いても』で二度、樹木さんと親子役を演じた阿部寛は「本当に逝ってしまうとは思ってもいませんでした。まだまだあの毒舌で元気な姿を皆さんに見せてくれると思ってた・・・。二度の親子を演じさせていただいたことは、僕の一生の宝です」と無念をにじませた。