立川シネマシティ・遠山武志の“娯楽の設計”第30回

映画館の最適な音量は「爆音」が正解だったーー米スピーカーメーカーMeyer Sound社を訪問

 その後、サンフランシスコの街中にある映画館もいくつか回りました。日本でもいよいよMOVIXさいたまに初導入される「Dolby Cinema」も。ここでもやはり、予告編の時点から【極爆】レベルのボリューム!

 映画の音量には基準があります。フロントがピンクノイズ(ザーッというTVアナログ放送時代のいわゆる砂嵐の時のような音)で85デシベル。サラウンドは82デシベル。サブウーファーは89デシベルなど。

 作る側も、劇場側もこれに合わせておけば、制作者の意図通りの音量になるという理屈です。しかし実際にこの音量で上映したら、かなりうるさく、お客様に叱られることでしょう。劇場によっては隣のスクリーンに音漏れすることにもなるかと。劇場によって機材も空間の形状も異なるので、結局はその劇場の担当者の裁量によって決められることになります。

 しかし性能の良い音響機器を使用し、きちんと調整を行えば、不快さを感じさせない大音量による作品世界への没入感の大幅なアップを図ることができます。シネマシティの【極爆】は、日本にあっては「爆音」と称せざるを得ないですが、実はリファレンスに近いものだったと今回確認することができました。これは大きい。この音量感こそが、Skywalker Soundの選択だったのです。

 世界最高クラスの音響メイカーと、サウンドスタジオを見学させていただき、とても書き切れないほどの発見と学びがありました。そしてあわせて、僕らはまったく負けていないという自信も持つことができました。

 この旅を経たことで、シネマシティの音はさらに高めていけるはずです。帰国後翌日、初調整作品となった『ストリート・オブ・ファイヤー』【極音】で、すでにそれを感じていただけた方もいらっしゃるはず。

 You ain't heard nothin' yet !(お楽しみはこれからだ)

(文=遠山武志)

■立川シネマシティ
映画館らしくない遊び心のある空間を目指し、最高のクリエイターが集結し完成させた映画館。音響・音質にこだわっており、「極上音響上映」「極上爆音上映」は多くの映画ファンの支持を得ている。

『シネマ・ワン』
住所:東京都立川市曙町2ー8ー5
JR立川駅より徒歩5分、多摩モノレール立川北駅より徒歩3分
『シネマ・ツー』
住所:東京都立川市曙町2ー42ー26
JR立川駅より徒歩6分、多摩モノレール立川北駅より徒歩2分
公式サイト:http://cinemacity.co.jp/

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