石原さとみ、“連ドラの女王”の座に? 『高嶺の花』好発進の理由は緩急つけた演技と等身大の姿にあり

石原さとみはファッションアイコンであり、等身大の“私たち”

 そして、石原さとみのドラマが“ハズさない”もうひとつの理由に、彼女の演じてきたキャラクターがある。石原さとみは、基本的に“スーパーウーマン”は演じない。『5→9〜私に恋したお坊さん〜』で演じた桜庭潤子は語学堪能でNY勤務を夢見るデキる女子だが、実家は路面電車が走る下町の団地、家では学生時代のジャージで過ごす庶民派だ。『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の河野悦子も、華やかな出版社勤務のように見えて、新卒から数えて7回目で悲願の採用。配属先は地味な校閲部と、オシャレに憧れる田舎育ちの女の子だった。法医学を題材にした『アンナチュラル』の三澄ミコトも仕事は有能だが、決して他の医療モノや刑事モノのように劇画的な決め台詞は発したりしない。地に足の着いた演技で新境地を開拓した。

『高嶺の花』(c)日本テレビ

 そのメイクやファッションこそ憧れの対象となるが、石原さとみが演じてきたのは、時に背伸びはするものの、悩んだり迷ったりしながら今を生きる“私たち”に近い女性像。そこに共感を得ているからこそ、石原さとみのドラマは“ハズさない”のだ。

 今回の『高嶺の花』もタイトルだけ見れば“私たち”とかけ離れたキャラクターのようだが、手痛い失恋をして味覚障害に悩む姿は、高嶺の花というよりごく普通の女性。風間直人(峯田和伸)との朝食に涙する場面では、それまでの高慢でがさつな素振りとは一転、繊細な女性像が垣間見えて、一気に愛らしさ満開となった。「なりたい顔」の常連でありながら、どこか隙を感じさせる距離の近さが、石原さとみの魅力。だから男性女性問わず、高嶺の花であるはずの石原さとみに親しみを覚えるのだ。このドラマでも“ハズさない”可愛さで視聴者を魅了してくれることだろう。

■横川良明
ライター。1983年生まれ。映像・演劇を問わずエンターテイメントを中心に広く取材・執筆。人生で一番影響を受けたドラマは野島伸司の『未成年』。Twitter:@fudge_2002

■放送情報
『高嶺の花』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00放送
出演:石原さとみ、峯田和伸、芳根京子、千葉雄大/升毅、十朱幸代/戸田菜穂、小日向文世ほか
脚本:野島伸司
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:松原浩、鈴木亜希乃、渡邉浩仁
演出:大塚恭司、狩山俊輔、岩崎マリエ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/takanenohana/

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