『崖っぷちホテル!』インタビュー

中村倫也が語る、30代の役者としての人生観 「“まーくん”や“江口さん”とインプットされることが名誉」

「隙あらば食べようとして怒られています」

ーーシェフという役どころですが、実際に料理はするんですか?

中村:ちょいちょいしてますね。半年くらい前が1番していた時期で、深夜2時までフライパンを振っていたりもしたんですけど、それが今回驚くほど調理シーンがなくて。きっと世の女性からも、男が料理しているところを見たいと思われていると思うんですけど、プロデューサーに「まだ出さないっすね」と言われていて。なので、そのうち出てくるのかなと期待しています。この前、あまりにも調理シーンがなかったので、ハルが卵を割っているときに、カットがかかる前に1個取って片手で割ったんです。たぶん使われないですけどね(笑)。

ーー美味しそうな料理がたくさん出てきますが、実際に現場で口にしたりするのでしょうか?

中村:隙あらば食べようとして怒られています。スタッフさんに「つながりが……」とか言われても「知るか知るか」と(笑)。第8話の撮影のときに使われた「色とりどりの鍋」を台本で読んで、どんな鍋なのかなと想像して、現場に行ったら海鮮系の鍋を見つけたんです。それをずっとべーさんが食べたがっていました。僕よりべーさんの方が常に食べたがっていることが多くて、「あれ、もういいですかね?」と僕に聞いてきて、僕がスタッフに聞くという……「俺はお兄ちゃんか!」って思いました(笑)。

ーーついに最終話の放送を迎えます。

中村:最終話はきっとすごいことになります。なんでかというと、台本がまだないんです(笑)。僕も乞うご期待状態です。江口らしい終わり方をしたいなと思います。

「注目される機会も増えて、またちょっと違うステージになる」

ーー『崖っぷちホテル!』の放送開始後、より人気に火がついたように感じるのですが、その反響についてはどう感じていますか?

中村:この2カ月ほどで10万人くらいTwitterのフォロワーが増えて、引いています(笑)。この春は、僕が出演したいろんな作品が公開になっているので、そうなったらいいなと思いつつ仕掛けてはいたんですけど、いざそうなると把握できるスピードを超えているというか、理解が追い付かなくて。仲間たちが上がっていくのは見てきましたけど、自分が注目されるとあわあわしちゃいますね。とても嬉しいことではありますけど。

ーー『崖っぷちホテル!』以外にも、現在は映画『孤狼の血』、ドラマ『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』(Hulu)、そしてNHK連続テレビ小説『半分、青い。』と大活躍ですね。それぞれの作品ではどのようなことを意識して役に臨んでいるのでしょう?

『孤狼の血』(c)「孤狼の血」製作委員会

中村:『孤狼の血』では、シャブ中の鉄砲玉のヤクザを演じているんですけど、まさか自分があんなクレイジーなヤクザ役をやるとは思っていませんでした。不安で不安でたまらなかったこともあったぐらいでしたね。『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』では、シリアスな話の軸の中でちょいちょい横から箸休め的に枝を伸ばしてくタイプのコンビを、滝藤(賢一)さんと演じているのですが、全体の作品性を損なわずにほどよく箸休めさせるところを意識しています。『半分、青い。』は、ゆるふわ過ぎて「大丈夫か?」と思われがちな18歳の大学生役。とても緊張しましたし、(朝井)正人というキャラクターはどこにも力が入っていたらダメな役だったので、それを押し殺して撮影に臨みましたね。

ーーそれぞれの作品で全く違う役柄を演じていることを含めて、世間では「カメレオン俳優」とも呼ばれていますね。

中村:擬態の意味ではタコの方が正確なんです。カメレオンよりもタコの擬態をちょっと動画で見てもらいたいなと思っていて、次は「ヒョウモンダコ俳優」と呼ばれるように頑張っていこうかなと今思いました(笑)。

ーー中村さんのことを、「江口さん」「正人くん」など役名のままで呼んでいる人が多い印象も受けます。

中村:この間も飲み屋で「(『闇金ウシジマくん』の)神堂(大道)さんですか?」と恐る恐る話しかけられたり、「(『ホリデイラブ』の井筒)渡さんですか?」とびくびくしながら声をかけられたり。怖い人だと思われているのかなと感じましたが、そういうのは愉快ですね。そのキャラが存在すると思って見てくれているんだなというのは、役者として「おっしゃ!」と思えるポイントなので。“中村倫也”という名前が認識されることはとても大事なことなのですが、僕はそれよりも「まーくん」とか「江口さん」とインプットされることの方が名誉だと思っています。

ーー今年はドラマや映画と出演作が続きますが、役者として今どんな時期であると考えていますか?

中村:結果を残していかなきゃいけないなとは思います。30代の10年間にどういうものができたかで、その後の一生が決まっていきそうな気はしていて。と言っても、結果や評価というのは好みもあるし、流動的でもあって、なので役者としても人間としても自分がやる仕事や演じる役を、関わる人や観てくれる人に対してしっかり誠意を持って、よりやっていかなければいけないなと。結局、芝居の上手い下手ではなくて、その人の魅力が全てなのかなと思うので。今まではダークホース的な立ち位置にいたと感じていましたが、注目される機会も増えて、またちょっと違うステージになるのかなと思うんです。それはまだ自分が見たことのない景色ですけど、人として変わらずにやっていきたいと思っています。

(取材=大和田茉椰、安田周平/文・写真=大和田茉椰)

■番組情報
『崖っぷちホテル!』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:岩田剛典、戸田恵梨香、浜辺美波、中村倫也、くっきー(野性爆弾)、佐伯大地、鈴木浩介、チャド・マレーン、宮川大輔、りょう、西尾まり、渡辺いっけい
脚本:土田英生
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:福井雄太、柳内久仁子(AX-ON)
演出:猪股隆一
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/gakehote/
公式Twitter:@gakehote2018

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