元宝塚トップスターたちが盛り上げる!? 音月桂、『越路吹雪物語』“天代麗”役で貫禄の演技

 帯ドラマ劇場『越路吹雪物語』(テレビ朝日)が第2週を迎えた。第1週では、越路吹雪と名乗る前の河野美保子の少女期を岩淵心咲が演じ、今週からスタートする青年期では瀧本美織が美保子を演じる。ストーリーは、1937年(昭和12年)高等女学生となった美保子が、父・友孝(尾美としのり)の勧めで宝塚音楽歌劇学校への入団を志すというもの。音楽学校で美保子は幾つもの出会いをする。後の乙羽信子、月丘夢路として活躍する同期の加治信子(咲妃みゆ)、旭爪明子(早織)の2人、声楽教師の伊藤登(中村俊介)。中でも、放送中反響が大きかったのは、美保子の先輩で宝塚歌劇団のトップスター・天代麗(音月桂)の登場だった。

 音月は、元宝塚歌劇団雪組トップスター。2012年、宝塚歌劇団を退団後、ドラマや映画を中心に活躍している。天代麗は、実在には存在しなかった人物。モデルとなるスターが宝塚にいることも考えられるが、美保子の憧れの人を超える“空の上の人”として、音月が配役に選ばれたことは確かだ。第9話の天代が初登場するシーンでは、彼女が姿を現わすなり、美保子はその場で腰が砕けてしまう。観劇していたトップスター“天代麗”としての貫禄ある彼女が、目の前に急に姿を見せたからだ。キリッとした顔つきで近づく天代に、うっとりした眼差しで落ちる美保子。天代は「ちょっと付き合ってもらえる?」と美保子を喫茶店に誘う。

 美保子は、伊藤と天代の支えもあり、落第を免れることとなる。伊藤は美保子を見送った後、物影に隠れていた天代に「ちょっとした刺激で大化けする」「あの子の歌には価値がある。宝塚を変えるよ」と宣言して見せる。その後に、「とんかつ〜♪」と歌いながらステップを踏む美保子の姿は、自由奔放とした彼女の性格を端的に表しているが、今週のストーリーでは、ちやほやしてくる後輩相手に口説く美保子の姿も確認でき、“越路吹雪”として男役トップスターの階段を駆け上っていく片鱗が垣間見えた一幕でもあった。雑誌『歌劇』に掲載された天代のグラビアを見て恍惚とする美保子もいたが、女性が女性に憧れるという宝塚の継承されし先輩後輩の伝統を、はっきりと示した週でもあるだろう。

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