石原さとみ、井浦新、窪田正孝が語る『アンナチュラル』の特異性 石原「初めての経験だった」

石原さとみ「ラブ要素は、そんなに重要なポイントではない」

(c)TBS

ーー座長としての石原さんはどうですか?

井浦:窪田くんも言っていた通り、さとみちゃんはセリフを体内に落とし込んでいきながら、それを吐き出していくという現場での集中力が、とにかくすごいです。一緒にお仕事をさせていただくと毎回、どうなっているんだろうな? と疑問に思う瞬間があります。今回も呪文のようなセリフを請け負っているのは、さとみちゃんなのですが、それらを咀嚼してから、必要なものを足していらないものを削ぎ落とすまでを一瞬で行ってしまいます。そんな彼女のたくましい姿を目の前で見ているからこそ、僕たち出演者は自然と引っ張っられていきますし、サポートしたくもなります。今回のさとみちゃんは今までよりも、勢いと自由度が増している印象です。すごく進化しているなと思いました。誰よりも大変なものを背負っているのに、堂々と最前線で頑張っています。

石原:嬉しい。中打ち上げの時に松重(豊)さんに、「今回、全く無理してないんですよね。これだけ頑張らなくていい現場って初めてで」とお話ししたら、松重さんは「そう思ってもらえるように、僕たちがいるんだよ」とおっしゃって下さって、その言葉がすごく印象的でした。今までは、役柄然り、引っ張っていかなきゃとか、些細なことにも誰よりも早く気づかなきゃとか、誰かの前に立たなければいけないことが多かったんです。でも今回は、私がツイッターのトレンドのトップに来なくていいと言いますか(笑)、作品を観てくださった皆さんの中に、ミコトという役柄が残ってくれたら、それだけで嬉しいなと。主役の責任感や苦しさみたいなものがまったくありません。一生懸命手を伸ばして引っ張らなくても、みんなが手を繋いで、同じスピードで同じ方向に向かっている気がします。

ーー石原さん演じるミコト、井浦さん演じる中堂、窪田さん演じる六郎は今後、三角関係に発展していくのでしょうか? そのような恋愛要素も描かれますか?

石原:第1話を撮り終わって、私はラブ要素を特に何も感じませんでした。でも、プロデューサーの(新井)順子さんは「全10話を通して、ラブでいく」っておっしゃっていて、え、ラブでいくの? って、ちょっと戸惑っています(笑)。ミコトが久部くんにも少し惹かれていくようなお話も聞いたので、余計に。

窪田:そっち惹かれるの? って感じですよね(笑)。僕自身も、え、こっちくるの? 違くない? と困惑しています。

ーーミコトは中堂のことを理解しようと思ってるからこそ、距離が縮まっていきますよね。

石原:そうですね。

ーーそれに対して、六郎が嫉妬したらり、不安になったりするのかなと。

石原:難しいですよね。

井浦:難しい。きっとミコトと中堂は、相手の表面部分ではなくて、その人が背負ってる何かを見ているんじゃないかなと。だから、目に見えないその何かを理解したいという想いが、見る人によってはラブという風に解釈をするのかもしれないです。六郎のミコトへの眼差しもまた、単純なラブというわけではなさそうだしね。

石原:他の人が知らない過去を知っているからこそ、抱く感情ってあると思うんですよね。秘密を共有していたり、知っているのに知らないふりをし続けたりする、それってちょっとした優越感がありますよね。だから、久部くんのその感情がラブに繋がっているのかはわからないです。

 ラブ要素は実際このドラマにおいて、そんなに重要なポイントではない気がします。やはり限られた環境の中に同じメンバーでいれば、それが同志愛なのか、それともただの絆なのか、兄弟、姉妹、家族愛的なことなのかは、本人たちですら気づかないような愛情が芽生えるはずです。そこを視聴者の皆さんが、各々の経験を通して受け取って下さったら、それでいいんだと思います。

(取材・文=戸塚安友奈)

■放送情報
金曜ドラマ『アンナチュラル』
2018年1月12日(金)スタート TBS系にて、毎週金曜22:00~(初回15分拡大)
出演:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、池田鉄洋、竜星涼、小笠原海(超特急)、飯尾和樹(ずん)、北村有起哉、大倉孝二、薬師丸ひろ子(特別出演)、松重豊ほか
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
脚本:野木亜紀子(『逃げるは恥だが役に立つ』『重版出来!』『空飛ぶ広報室』ほか)
プロデューサー:新井順子(ドリマックス・テレビジョン)、植田博樹
演出:塚原あゆ子(ドリマックス・テレビジョン)
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/

関連記事