櫻井翔が大義を成し遂げるために必要なことは? 『先に生まれただけの僕』第9話で迫られた決断

 ごく一般的な連続ドラマの定説からすれば、ひとつひとつの問題が解決していき、それがうまくまとまり、クライマックスでもう一波乱生じて、無事にすべてが丸く収まるものだ。ところが、『先に生まれただけの僕』は、毎回毎回そんな予想を良い意味で裏切っていく。9日に放送された第9話は、最終回前のエピソードでありながら、いつも通りの雰囲気で物語が進んでいく。

 学校改革の一環である、部活動の強化によって雇ったバスケ部のコーチが、遠征試合を計画。ところが、それにかかる費用を巡って、生徒の保護者が学校に押しかけてくるのである。さらに、他の部活動からも遠征を行いたいとの申し出があり、その費用捻出に鳴海(櫻井翔)は頭をひねることになった。

 一方で、学校改革のメインとなる、生徒確保の策として、受験に向けた個別相談を行うこと、さらにSNSを駆使して学校をアピールすることがとんとん拍子で進んでいく。そこに鳴海と松原(多部未華子)の微妙な関係、そして鳴海を京明館高校から外そうと暗躍する加賀谷(高嶋政伸)の姿も重なっていく。まだどうしても掴みどころのないストーリーという印象だ。

 これまで鳴海が校長に赴任してから、「京明館高校を変えていく」という目標に向かって、常に受験生の確保に取り組んできた。たしかに、それの具体的な成果が出るのはだいぶ後になることなので、ドラマの中で描き切るのは難しい部分かもしれない。しかしながら、そこに向かうに至るための、様々なプロセスが、あまりにも多いという見方は否めない。

 たとえば「反・鳴海校長」を掲げてきた3年生担任の河原崎(池田鉄洋)、郷原(荒川良々)、杉山(秋山菜津子)の3人との関係だ。ほかの真柴(蒼井優)や島津(瀬戸康史)が鳴海に協力する姿勢を見せているのは明確だが、この3人に関してはいまだに一進一退が続いている。

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