「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『光』『ジャスティス・リーグ』

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品をプッシュします。

『光』

 ハマの番長・三浦大輔も、三浦しをんの作品も好きな、ベイスターズファン歴21年目の石井がオススメするのは大森立嗣監督作『光』。

 『まほろ駅前』シリーズで原作者・監督としてタッグを組んだふたりが次なる映画化作品に選んだのは、三浦しをん作品の中で最もダーティーな作品と言われる『光』。東京の離島で育ち、島を襲った津波から数人の大人と共に生き残った信之、恋人の美花、年下の幼なじみの輔の3人が、25年後に再会し、過去の秘密と向き合うが……。

 幼いころに、どうしようもない暴力に晒された3人は、その後の人生を、何か感情が欠落したかのように生きていきます。そして、3人を演じる井浦新、瑛太、長谷川京子は、これまで観た他の作品のどんな演技よりも狂気に満ちています。特に伸之を演じた井浦新さん。ポスタービジュアルの写真でも醸し出されていますが、こちらを向いているのにその瞳はまったく違うところを向いているような、“心がそこにない”ゾッとする怖さ。最近『HiGH&LOW』にハマってしまった筆者にとっての井浦さんは、「MUGENの創設者・陽気で器の大きい達也さん」のイメージになっていたので、改めてその演技力に唸るばかりでした。

 登場人物たちは、過去に起きた不幸から、自分たちの行動をあたかも“連鎖”であるかのように振る舞います。「自分のせいではない」「自分には関係ない」「自分がこうなるのは、あのときの事件があったからだ」と。自らの愚かな行為を自分なりの理由をつけて正当化する、でも、そこには理由などない。そんな無自覚と無責任は、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。連鎖の中で生きた彼らが最後にどうなったのか、冷や汗をかきながら見守ってほしいです。

 そして、最後に付け加えなくてはいけないのが、ジェフ・ミルズの音楽。ホラー映画のようにタイトルテロップの「光」が表示され、爆音のBGMが流れた瞬間、映画の異常な空間に引きずりこまれました。時にポップに、時にグロテスクに、登場人物たちの複雑な内面を表すかのように独特の音楽が映画を彩っていきます。ジェフ・ミルズの音楽を堪能するためにも、音響のいい映画感で観ることをオススメいたします!

■公開情報
『光』
11月25日(土)、新宿武蔵野館、有楽町スバル座ほか全国ロードショー
出演:井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミ、南果歩、平田満
監督・脚本:大森立嗣
原作:三浦しをん(「光」集英社文庫刊)
音楽:ジェフ・ミルズ
配給:ファントム・フィルム
(c)三浦しをん/集英社・(c)2017『光』製作委員会
公式サイト:hi-ka-ri.com

『ジャスティス・リーグ』

 2017年劇場鑑賞本数568本(2017年11月24日現在)、週末は基本的に映画館で暮らしている、リアルサウンド映画部のロン毛担当・宮川がオススメするのは、『ジャスティス・リーグ』。

 娘の自殺によるザック・スナイダー監督の途中降板(『アベンジャーズ』シリーズのジョス・ウェドンが後任に)、全米での興行不振(初登場1位を記録するものの、DCエクステンデッド・ユニバースで初めてオープニング興収1億ドル以下の成績)など、内容そのものよりもそれ以外の部分で大きな話題を呼んできた『ジャスティス・リーグ』がついに日本でも公開された。

 すでにキャラクターとして成立している、ベン・アフレック演じるバットマンと、ガル・ガドット演じるワンダーウーマンに加え、今回本格的に登場する新キャラクターのフラッシュ(エズラ・ミラー)、アクアマン(ジェイソン・モモア)、サイボーグ(レイ・フィッシャー)がタッグを組み、ステッペンウルフという強大な敵に挑む模様を描く。

 『マン・オブ・スティール』、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』と続いた、ザック・スナイダー監督特有のダークな雰囲気から一変、今作はジョス・ウェドンの参加によって、映像面においてもキャラクター描写においてもより明るいタッチとなり、新規ファンにも馴染みやすいエンターテインメント作品となった印象だ。

 マーベル・シネマティック・ユニバースにおけるスパイダーマンのような存在であるフラッシュの功績が大きいのはもちろんだが、自身の能力を“金持ち”だと断言するバットマンがコメディリリーフ的な存在になっており、ベン・アフレックが画面に現れるたびに思わず笑いがこぼれてしまうのは筆者だけではないはず。

 ザック・スナイダー監督による完全版も観てみたかったというのが正直なところだが、フラッシュの父親役で登場するビリー・クラダップや、アクアマンと同じアトランティス人メラを演じたアンバー・ハードなど、今後それぞれの単独作で重要な役どころとなるであろうキャストが出演しているのもポイントだろう。そういった意味では、今後のDCエクステンデッド・ユニバース作品においても重要作になるこの作品を、観ておかないわけにはいかない。

■公開情報
『ジャスティス・リーグ』
全国公開中
監督:ザック・スナイダー
出演:ベン・アフレック、ガル・ガドット、ジェイソン・モモア、エズラ・ミラー、レイ・フィッシャー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
公式サイト:http://www.justiceleague.jp/

関連記事