『コウノドリ』綾野剛と星野源が真っ向から対立? 患者を思うが故の苦しい選択

 妊婦である佐和子(土村芳)が、サクラ(綾野剛)に子宮頸部腺がんであることを告げられるというシーンで終わりを迎えた『コウノドリ』第1話。癌の治療か、出産か。答えのない選択にサクラと四宮(星野源)の意見は対立する。

 佐和子の癌の進行は早く、お腹の中の赤ちゃんをどこまで成熟させ出産するのか。癌手術で子宮が全摘出となるため、出産は今回が最初で最後となる。サクラが出した答えは、28週で出産するというもの。母親の手術を早期に手術出来るものの、その分赤ちゃんへのリスクは大きい。なんらかのリスクを抱えて生まれてくる可能性が高くなってしまうのだ。

  一方、四宮の意見は「早いだろ。28週では、ベビーに負担がかかる。発達遅滞や発達障害の可能性もある。母体の状態も見て、せめて32週まで引っ張るのが妥当だ」というもの。早期の28週段階で赤ちゃんを出産し、癌を治療することを考えるサクラと、赤ちゃんのことを優先に考え32週まで待つことを勧める四宮。医師同士が同じ意見とは限らない。答えのない選択であり、産婦人科医として妊婦のことを思うからこその苦しい決断だ。「もっとワクチン接種が広まっていれば、こういうことは減るのになと思いますけどね」、四宮が提言するように日本は、子宮頸癌ワクチンの接種が他の国に比べ最低レベルであることは事実。現実に行っていることを伝える『コウノドリ』のドラマとしての姿勢が伺えたシーンだ。

 「お母さん自身の手で赤ちゃんを育てて欲しい」、サクラは佐和子に28週を勧める理由を伝える。32週まで待っても、赤ちゃんはリスクを負わずに産まれてくるかもしれないが、それと引き換えに母親の命が危なくなる。夫婦は新生児集中治療室で、26週で生まれたきた赤ちゃんが必死に生きている姿を目の当たりにする。「心から幸せと言えるのか?」、28週でリスクを背負って生まれてくるのなら……妻の命を最優先に考える夫に対して、佐和子は32週まで育てて夫にきちんと育てられるようにと、自らの命を捧げる覚悟をしていた。母親としての思いの強さに感化された夫は、「俺たちの、“三人”の人生だ」と妻を支えていくことを約束する。28週で産むことを決断した佐和子。無事元気な赤ちゃんが産まれ、次は彼女の癌摘出が待っている。「私、癌なんかに負けませんから。あの子、育てますから」、母親としての強さが見えた瞬間だった。

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