フルCGアニメ『バイオハザード:ヴェンデッタ』がクールな仕上がりになった理由

 『バイオハザード』シリーズのフルCG長編アニメーション3作目となる『バイオハザード:ヴェンデッタ』が、5月27日から公開中だ。上映館がだいぶ限られていることもあって、実写版映画シリーズと比べると注目度はやや劣るようにも感じられるが、観客からの評価はかなり高い。実写版とは別ベクトルで存分に楽しめる内容で、最高にクールな仕上がりになっている。

 『呪怨』シリーズの清水崇(エグゼクティブ・プロデューサー)、『機動警察パトレイバー』シリーズの辻本貴則(監督)、『PSYCHO-PASS サイコパス』の深見真(脚本)、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の川井憲次(音楽)と、制作陣を見ただけでも豪華さが伝わる本作。さらに、ゲーム販売元のカプコン・小林裕幸が原作監修を務めていることもあって、往年のゲームファンにとっては特にたまらない展開になっている。メインキャラクターのクリス、レオン、レベッカの3名はゲーム版の主要キャラでもあり、設定などもゲームからのオマージュが多い。序盤の洋館シーンもゲーム初期の舞台を連想させるものになっていて、筆者が劇場で鑑賞した際にも、このシーンで「懐かしい……」とつぶやく観客の声が聞こえたほどだった。

 とはいえ、ゲームシリーズをほとんどプレイしたことがない筆者でも十分熱中できたので、実写版のファンや、シリーズの予備知識がゼロに近い人でも安心だ。ゲーム以外からのオマージュも多く、実写版に登場するレーザートラップを彷彿とさせるようなシーンのほか、『呪怨』を連想させるホラーシーンもあった。実際に、辻本監督も舞台挨拶で「清水崇のリズムをパクったんです(笑)。なので、本作は清水監督へのラブレターのような一面があります」(引用:辻本貴則監督「バイオハザード ヴェンデッタ」は「清水崇監督へのラブレター」)と語っている。しかし、物語中盤以降はアクション要素が勝るため、序盤の手に汗握るターンさえ乗り越えれば、ホラーが苦手でも比較的見やすいように思う。

 また、CGの出来が非常にリアルなため、全編通してアニメーションというよりも実写映画を見ているのに近い感覚だった。背景や小道具、人物の汗ばんだ肌の質感など、本当に精巧でクオリティが高い。さらに、登場人物が外国人ということで、国内制作なのにセリフは英語でわざわざ日本語字幕をつけ、キャラクターの国籍によって訛りも再現されているあたり、洋画を見ているようなリアリティも感じられた。しかし、アクションシーンではCGの強みが存分に発揮される。ゾンビの俊敏な動きや、バイクに乗りながらのガンアクション、素早い弾倉交換などは、実写では再現が難しいだろう。監督が「ドラマパートでは実写作品で可能なカメラワークを徹底し、アクションシーンではその束縛を解き放って、縦横無尽にカメラを動かした」と言うように、カメラワークにも大胆な変化が見られる。

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