キャスト陣だけではなく、物語の展開も決して悪くない。第一話で早くも、偶然によるキスシーンを経て“結婚したい女”と“結婚したくない男”の対立構造を作り上げ、さらに名波があすかに告白するところまで、一気に見せきった。出し惜しみをしないで、どんどん話を転がしていこうという制作側の意欲が感じられるスピードで、原作を知っている視聴者が見ても、また別物としてドキドキしながら楽しめそうである。設定の変更もいくつかあったことから、今後の展開はドラマならではのものになっていくのではないだろうか。

　『逃げるは恥だが役に立つ』は、様々な生き方や選択を肯定した内容で、視聴者が登場人物の誰かに自分に置き換えながら、前向きな気持ちで見ることができたのが高い支持を得た要因のひとつだった。では、『突然ですが、明日結婚します』はどうか？　登場人物たちの明け透けな欲求は、多くの人々の本音を代弁してはいるものの、そのまま自分を当てはめて楽しめるタイプの物語ではないだろう。むしろ、設定といいキャラクターといい、どちらかというと現実離れした部分も少なくない。しかし、人々の欲求をより強く反映しているという点で、憧れの対象と成り得る可能性はあるだろう。そしてその感覚こそが、月９本来の魅力でもある。視聴者の予想をいい意味で裏切るように、どんどん華やかで刺激的な展開を見せてほしいところだ。

（文＝松下博夫）

■番組情報
『突然ですが、明日結婚します』
フジテレビ、毎週月曜よる９時〜
キャスト：西内まりや、山村隆太(flumpool)、山崎育三郎、中村アン、岸井ゆきの、ほか
原作：宮園いづみ　『突然ですが、明日結婚します』（小学館『プチコミック』）
脚本：山室有紀子、倉光泰子
制作著作：フジテレビ
公式サイト：http://www.fujitv.co.jp/ashita_kekkonshimasu/index.html