異色マーベル作品『デアデビル』はなぜ驚異の高評価を得たか? “不殺の自警ヒーロー”の革新性

 しかし、これらの作品と『デアデビル』とでは決定的な違いがある。それは「不殺」が根幹に据えられていることだ。その一線があることで、他のヴィジランテヒーロー作品とは全く異なった心理描写が生み出される。特にシーズン2では、悪人を片っ端から殺すアンチヒーローのパニッシャー=フランク・キャッスル(ジョン・バーンサル)が登場することで、「不殺」の一線が危うくなる。そのことは、ヒロインのカレン・ペイジ(デボラ・アン・ウォーカー)がデアデビルのヴィジランテに対し、「単に知らないだけで殺されているかもしれない」という主旨の台詞などに象徴され、筆者ははっとさせられた。

 また、パニッシャー登場当初は激しい憎悪を抱いていたデアデビルも、彼の背負っている悲しい過去や、自警行為を始めるに至った経緯を知るにつれて、心境の変化を見せ始める。シーズン3以降も「不殺」が根幹にあることで、どのようなサスペンス性やマットの葛藤が生じるのか楽しみでしかたない。

■梅澤亮介
1988年生まれ。ネットニュースメディア勤務の兼業映画ライター。同人誌「ことばの映画館」でも執筆。クライムサスペンスが守備範囲。マシュー・ヴォーン信者。

■配信情報
『Marvel デアデビル』シーズン2
Netflixにてストリーミング配信中
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Netflix:https://www.netflix.com/jp/

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