森田剛、山田涼介、生田斗真……ジャニーズ俳優が演じる“美しき殺人鬼”たち

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 V6・森田剛が古谷実原作の映画『ヒメアノ〜ル』にて、快楽殺人犯・森田正一役として主演を務めることが話題になっている。森田の殺人者役が注目を集めている理由のひとつには、彼の本業がジャニーズ所属のアイドルだということが挙げられるだろう。夢や希望を与える輝かしい存在であるジャニーズと、人々に恐怖と混乱を与える殺人犯は、イメージが大きくかけ離れており、だからこそ人々の好奇心をそそる部分もあるはずだ。実際、稲垣吾郎や二宮和也など、過去を振り返ると様々なジャニーズ俳優たちが、殺人犯や異常性を持った役に挑戦している。そのギャップのある演技によって、業界内外から高い評価を受けることもあった。

 記憶に新しいのは、小説家・伊坂幸太郎原作の映画『グラスホッパー』で、若き殺し屋・蝉を演じたHey! Say! JUMPの山田涼介だ。山田が演じた蝉は、抜群の身体能力を駆使しナイフでの殺しを得意とする殺人者で、上司の岩西(村上淳)が指定したターゲットを容赦なく殺害する。おしゃべり好きが由来して蝉というニックネームがついており、人殺しの最中、血しぶきを浴びながら笑顔で軽口をたたく美少年の姿は、薄気味の悪さを感じさせると同時に、人目を奪う魅力も兼ね備えている。山田涼介の純真無垢なキャラクターと蝉の異常性が合わさることで、その危うい美しさがより濃度を増して画面に映し出されていた。

 また、『グラスホッパー』で虫も殺せないような優しい草食男子・鈴木を演じた生田斗真も、瀧本智行監督作『脳男』では感情のない殺人鬼を演じている。透き通るような白い肌と端正な顔立ち、そしてミステリアスな空気を纏うキャラクターから、公開当時は「美しすぎる殺人鬼」というキャッチコピーがついていた。同作で生田が演じた入陶大威(いりすたけきみ)は、並外れた知能を持つが故に、育ての祖父に、犯罪者を抹殺する殺人マシーンに育て上げられた悲しい過去を持つ。基本的に道具は使わず、強靭な肉体を武器に殺しを実行する。劇中ではナイフで刺されながらも自宅に侵入した強盗を絞殺したほか、更生したフリをする児童誘拐犯(染谷将太)も殺害した。爆破に巻き込まれようが、罵倒されようが、感情を一切出さない役に徹しながらも、時折、心の奥に眠る感情が浮き出てくる様子を表情の微妙な変化で演じていた。世間一般の常識には当てはまらない、現実と非現実の狭間の演技が求められるのも、異常性を持つ役柄の難しさだろう。

 SMAPの香取慎吾と草なぎ剛が揃って異常殺人鬼役に挑戦したドラマが『沙粧妙子 - 最後の事件 -』(フジテレビ系)だ。猟奇殺人犯を追う女性刑事・沙粧妙子(浅野温子)を主人公に、プロファイリングや異常心理、洗脳などを題材にした重厚なサスペンスストーリーは、現在もカルト的な人気を誇っている。本ドラマで香取は、殺害後に死体の右手の小指の爪を剥いでいく爪剥ぎ連続殺人犯・谷口光二役を演じ、草なぎはスペシャル版の『沙粧妙子- 帰還の挨拶 - 』で、女性をスタンガンで弱らせた後にじわじわいたぶりながら殺していく連続婦女暴行犯・百合岡貞嗣役をそれぞれ演じた。当時、香取は18歳、草なぎは22歳という若さでありながらも、頭のネジが二三本外れた狂気的な若者役を体当たりで演じることで、役者としての新境地を世間に示したと言える。

 ジャニーズきっての演技派と称される風間俊介も、心に闇を抱えた若者の役を何度もこなしてきた役者のひとりだ。学園ドラマの金字塔『3年B組金八先生』(TBS)で、クラスを裏から操る知的で闇の深いいじめっ子役を好演し、本格的に役者としてのキャリアをスタート。最近だと、坂元裕二が脚本を務めた『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)で、幼女に異常な興味を示す元殺人犯役を演じ、学園ドラマ『鈴木先生』(テレビ東京)の劇場版では、鎌を構えヒロインの小川蘇美(土屋太鳳)に「服を脱げ」と迫る青年役を演じていた。風間が演じてきた、そのような役柄は、大人しそうな雰囲気を装いながらも内面にドロドロとした異常性を秘めている、という共通項があった。アイドルでありながら、平凡な好青年になりきることができる風間の演技力と、心に狂気を持つキャラクターとのズレが、現実味を帯びた恐怖を生み出していくのである。

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