映画の“続編”に必要なものは何か? 『スター・ウォーズ』から『ファインディング・ドリー』まで多様なアプローチを考察
異なる作品で同じ世界観を共有することで、続編に広がりをもたせているケースもある。これまでに『アイアンマン』、『キャプテン・アメリカ』、『アベンジャーズ』といった、多くの大ヒットシリーズを手掛けてきたマーベル・スタジオは、そういった意味で秀逸だ。マーベル・スタジオは大ヒットシリーズをもとに「マーベル・シネマティック・ユニバース」という世界を築きあげており、この世界観をもとに作られた作品はすべて、他のマーベル・スタジオの作品とリンクしている。この仕掛けによって、あるマーベル・スタジオ作品のファンになると、別のマーベル・スタジオ作品もより深く楽しめるというメリットがある。また、『アベンジャーズ』シリーズのように、マーベル・スタジオ作品のキャラを同時に複数登場させ、新たな物語を築くことも可能だ。
近作でもっとも成功した続編というと、『ジュラシック・パーク』シリーズの最新作にあたる『ジュラシック・ワールド』も見逃せない。1993年に公開された『ジュラシック・パーク』は当時、配給作品としては初めてdtsデジタルサウンドを導入したほか、アニマトロニクスとコンピュータグラフィックスを駆使するなどして、後の映画に大きな影響を与えた作品となった。今回の『ジュラシック・ワールド』は、新たな規格であるIMAXなどの3D映像を存分に楽しめる作品として、アトラクション映画の新時代を感じさせる仕上がりになり、オープニング週末3日間の興行成績が全世界合計で5億2410万ドルという記録的な大ヒット作となった。技術革新によって続編を成立させた作品として、これほど明解な事例も珍しいだろう。
そのハードルの高さゆえ、制作にはリスクも伴う映画の続編だが、そこから新たな表現が生まれることも少なくない。それぞれの作品がどんな工夫によって前作を刷新しているかに注目すると、続編の楽しみ方も広がりそうだ。
(文=近藤真弥)
■公開情報
『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』
7月1日(金)全国ロードショー
製作:ティム・バートン
監督:ジェームズ・ボビン
出演:ジョニー・デップ、アン・ハサウェイ、ミア・ワシコウスカ、ヘレナ・ボナム=カーター
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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